人工臓器
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血液透析患者におけるCDDP血中濃度と血液浄化法について
黒川 順二飛田 美穂平賀 聖悟飯田 宣志佐藤 威
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1987 年 16 巻 2 号 p. 774-777

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抄録
悪性腫瘍を有する血液透析患者3名に対して、術後化学療法としCDDP療法を施行し、各種の血液浄化法を用い血中CDDPの除去効果を血中Platinum (Pt)濃度の測定により検討した。血中Ptは、total Pt濃度とfree Pt濃度として原子吸光光度計にて測定した。HD、HDF、DHP、HFでは、非蛋白結合型のCDDPが主として除去されたが、除去率は10.4-37.7%で血液浄化法としては満足すべきCDDPの除去効果が得られなかった。今回検討した血液浄化法のうちPEがもっとも有効な血中よりのCDDPに対する除去法であった。凍結血漿4,000ml置換によるPEの血中Pt濃度の低下は血中total Pt濃度で1942.0ng/mlであり、このときの減少率は68.6%であった。又、CDDP投与後の血中Pt濃度の経時的変化において、両側腎摘術除後の無腎患者において急峻な低下を示すα相が見られ、CDDPの組織移行は速やかであると考えられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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