抄録
血液浄化膜の生体適合性の検討の一方法として同一被験者で同時に素材、および膜構造の異なるミニモジュールを用いて通血試験を行い、いくつかの項目について興味ある知見が得られた。
すなわち、3名の男性被験者にそれぞれPE, PVA, EVAL (spec D. 4A)のミニモジュール(膜面積0.01m2)を並列に連結し、肘正中皮静脈から採血し、PVC製チューブで5等分(1個所はブランク)して10ml/minで通血し、10分後に採取して血漿の補体活性化(C3a, C4a)を測定し、膜素材の補体への影響を検討した。また、使用後のそれぞれの中空糸膜における付着蛋白量、有形成分の付着状態などについて、GPC, N分析, SEMなどの手法によって解析した。膜素材による補体の活性化の順位は, PVA>EVAL(D, 4A)>PE>ブランクであり、EVALのD、4Aの構造物性の差の影響は認められなかった。