人工臓器
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各種血液浄化療法におけるβ2-microglobulinの除去能と血清濃度について
熊野 和雄南部 正人草刈 修一酒井 糾桜井 健治
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1987 年 16 巻 2 号 p. 877-880

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抄録
各種血液浄化療法におけるβ2Mの除去能及びその血中濃度について検討を行った。HFではβ2Mの血中濃度はRP-6、PMMA共に著明な低下を示したが、これらβ2M除去の機序として前者では濾過、後者では膜吸着が主なものであった。合成高分子膜使用によるHDではβ2Mの血中濃度は約30%低下したがクプロファン膜によるHDでは変化なかった。CAPD患者ではCAPD液へかなりのβ2Mの除去が行われていた。HD, CAPD患者共に透析歴とβ2M血中濃度との間には弱い正の相関関係がみられた。又、β2Mの血中濃度にはわずかでも残腎機能が影響すると思われた。このように各種血液浄化療法ではβ2Mの除去能に大きな差があるにもかかわらず、その血中濃度には有意差を認めなかった。これらの事は慢性腎不全患者ではβ22Mの生成、分解等に複雑な調節機構が関与している可能性を示唆していると思われる。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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