人工臓器
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Hybrid Artificial Liverの研究
―ガラクトサミン肝不全犬による代謝補助システムの機能と安全性の検討―
葛西 眞一柿坂 明俊水戸 廸郎寺田 良蔵鈴木 慈郎丹沢 宏
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1987 年 16 巻 2 号 p. 912-915

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抄録

肝臓の代謝機能の補助を意図して、遊離肝細胞を代謝のリアクターとしたシステムを検討した。肝細胞は、基本的には、浮遊培養に類似した方法で使用し、この細胞側と患者の血液側とは、分画分子量10万のPMMA膜を介して接触し物質交換を行なう。浮遊液を直接酸素ガスでバブリングするプロトタイプでは、肝細胞のviabilityを長時間維持できなかったので、浮遊液の培地のみを甲空糸膜フィルターで抜き取り、血液と接触させる新しいシステムを考案した。このシステムによると、細胞のviabilityを従来の約2倍の時間維持させることが可能であった。ガラクトサミン肝不全犬との灌流実験では、プロトタイプとほぼ同様の成績を示し、生存犬を得るには至らなかった。免疫学的問題を、犬. 豚間の灌流実験時の血清についてbioassayで調べたところ、犬肝細胞抗原に対する抗体産生が認められ、さらに詳細な検討が必要と判断された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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