抄録
過去8年間で我々は42例の重症肝障害患者に対して334回の血漿交換を中心とした血液浄化療法を行なってきた。患者の内訳は胆汁うっ滞9例、術後肝不全19例、acute on chronic 4例、そして劇症肝炎10例であり、16例は肝硬変を合併していた。生存例は13例(31%)であり、血漿交換単独施行例での救命率は38%となった。肝硬変合併例の生存率は19%と低く非合併例の半分にすぎなかった。主要合併症の併発数と予後をみると、死亡群での不全臓器数は救命群の2倍以上と多かった。疾患別にみると、劇症肝炎では生存例は1例もなぐ、血漿交換のより早期からの導入、置換量の増量の必要性などが痛感された。また術後肝不全では発症の早い症例ほど多臓器不全で失っており、血中エンドトキシンの浄化を含め多面的な治療法の集約が肝要と思われた。