人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
肝不全に対する血漿交換療法の効果と限界
松原 修二岡部 健二大内 清昭佐藤 寿雄矢島 義昭鈴木 勃志
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 16 巻 2 号 p. 950-953

詳細
抄録
過去8年間で我々は42例の重症肝障害患者に対して334回の血漿交換を中心とした血液浄化療法を行なってきた。患者の内訳は胆汁うっ滞9例、術後肝不全19例、acute on chronic 4例、そして劇症肝炎10例であり、16例は肝硬変を合併していた。生存例は13例(31%)であり、血漿交換単独施行例での救命率は38%となった。肝硬変合併例の生存率は19%と低く非合併例の半分にすぎなかった。主要合併症の併発数と予後をみると、死亡群での不全臓器数は救命群の2倍以上と多かった。疾患別にみると、劇症肝炎では生存例は1例もなぐ、血漿交換のより早期からの導入、置換量の増量の必要性などが痛感された。また術後肝不全では発症の早い症例ほど多臓器不全で失っており、血中エンドトキシンの浄化を含め多面的な治療法の集約が肝要と思われた。
著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top