抄録
本邦における補助人工心臓の臨床応用は, 現在までに百数十例に及び急速な症例数の増加が認められている。しかしながら離脱率は比較的良好にもかかわらず, 長期生存率は低く, 臨床的問題を数多く有している。今回, 自験例13例中左心補助を行った11例に対し, 問題点とその対策および限界について検討を行った。
うち重要と思われる結論として, ポンプ・カニューレは現在ほぼ満足しうるレベルまできたが, ポンプサイズ, カニューレ形態, 太さ, 内蔵人工弁などについては今後の改善に期待されると考えられた。また適応については可及的速かに行うが, VADの効果の限界を越える症例が少なからず存在し, 厳重な注意を要する。またVAD適応の周辺の時期のすべてにわたり感染やMOFの予防に常に努力が必要であるなどの結語を得た。