抄録
上半身を自然心臓(NH)で、下半身を人工心臓(AH)で循環する上下の分離人工心臓循環を作成し、AHの駆動条件をコンピュータにより自動的に変化させた際の循環系の応答(心拍数、中心静脈圧(CVP)もしくは右房圧(RAP)、上下の動脈圧・血流量など)を自動的にコンピュータに取り込み解析を行なった。このモデルでは低流量から高流量までの心拍出量を覚醒状態にて強制的に作り得た。本実験にて、1) 総流量とCVP(もしくはRAP)との相関を認めなかった、2) 心拍数と総拍出量との相関を認めなかった、3) 上半身においては、動脈圧および血流量は一定範囲内に保たれ、末梢抵抗も一定の曲線を描くが、下半身では駆動条件によってそれぞれ別々の圧―流量関係および末梢抵抗―流量関係を示し、全体的にも相関関係が認められたなどの結果を得、AHにおいては末梢抵抗を制御関数として設定すれば動脈圧および血流量の変動範囲がより生体の条件に近い制御ができる可能性が示された。