抄録
同種大動脈弁の代用静脈弁の可能性について実験的に検討した。予備実験として冷凍保存した同種大動脈弁を上大静脈に縫合間置した。その後TRを作成し同種大動脈弁の代用静脈弁としての機能を心血管造影検査と心臓カテーテル検査により検討した。同種大動脈弁は拡張期に静脈還流により開放し、収縮期にTRによる逆流により閉鎖した。また圧測定では同種大動脈弁による圧較差は無く、同種大動脈弁はTRによる逆流を防止した。次に慢性実験では新鮮同種大動脈弁を冷凍保存せずに上大静脈に縫合間置し、TR非作成犬とTR作成犬を作成し、経時的に検査を行い検討した。新鮮同種大動脈弁は移植後約2カ月までは代用静脈弁として有効に機能したが3カ月以降は肥厚、短縮しその機能は低下した。しかしながら遠隔期においても僅かな圧較差を有する狭窄に留まるため臨床応用が可能と考えられた。