人工臓器
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外部灌流式ホローファイバー型人工肺Sarnsの臨床使用経験
―血液成分保護の観点より―
岸崎 邦昭益田 宗孝戸嶋 良博中村 祐一郎小江 雅弘三谷 淳夫深町 清孝坂本 真人川内 義人木下 和彦真弓 久則麻生 俊英田中 二郎徳永 皓一
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1989 年 18 巻 2 号 p. 894-897

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抄録
低容量、低有効膜面積のSarns社製外部灌流式ホローファイバー膜型肺(以下S肺)を臨床使用し、同じ外部灌流式膜型肺Maxima(以下M肺)と比較した。両肺とも気泡除去などの操作性は良好であったが、Sarns肺は、320mlという人工肺容量の小ささが体外循環回路充填量に反映され、希釈率も低く、その結果体外循環終了時まで全例無輸血体外循環が施行できた。血液ガス交換能に関しては、両者とも安定した経過を示した。血液成分保護に関して、血小板保存率はS肺にて体外循環開始時において良好であったが、体外循環終了時にはほぼ同等値をとった。溶血の点で、S肺は体外循環時間当りの遊離ヘモグロビン増加量がM肺に比し、やや高い傾向にあった。補体系の活性化により産性されるアナフィラトキシンのC3aはS肺にて低く抑えられた。以上より両肺とも臨床使用上充分有用な人工肺であるが、体外循環回路充填量節減と血中補体活性化の点で、S肺がやや有利であると思われた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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