人工臓器
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体外循環に伴う凝固線溶動態の解析
―TATおよびPlm. α2PI complex測定の有用性―
田中 國義片山 芳彦下野 高嗣水谷 哲夫矢田 公湯浅 浩草川 實
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1989 年 18 巻 2 号 p. 915-919

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抄録
成人開心術症例14例に対し、術中経時的に採血し、凝固線溶動態の解析を行なった。凝固線溶系パラメータとして、従来のfibrinogen, ATIII, FPA, plasminogen, α2PI, FPBβ15-42の他に、最近新しく開発されたELISA法を用いたThrombin-antithrombin complex(TAT)およびα2PI・Plasmin complex(α2PI・Pm complex)の測定を行なった。体外循環に伴ないFPAの上昇、ATIIIの低下が認められ凝固機転の発現が、また、α2PIの低下、FPBβ15-42の上昇より線溶活性の発現が推察された。さらに、TATおよびα2PI・Pm complexも体外循環開始後上昇し、体外循環開始120分後にはそれぞれ前値の11倍、3.2倍に達し、体外循環に伴なうthrombinおよびplasminの生成が確認された。TATおよびα2PI・Pm complexの測定は従来の間接的指標に比べ鋭敏であり、測定方法も容易である事から、今後開心術に伴う凝固線溶系の各種病態の解析、各種薬物の効果の解析に有用であると考えられる。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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