人工臓器
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術中自己血回収操作による赤血球損傷の検討
―赤血球変形能について―
阿久津 博美長田 鉄也末定 弘行土田 博光箱島 明山口 寛石丸 新古川 欽一
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1989 年 18 巻 2 号 p. 941-944

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抄録
心・大血管手術症例11例に対して, 術野出血, 体対循環回路残血をHaemonetics Cell Saver IVRを使用して回収し自己輸血を行った。平均出血量3804mlに対し, 平均輸血量は1377mlであった。Cell Saver非使用群23例では, 平均出血量2755mlに対し, 平均輸血量は3160mlであった。回収処理血の性状は, 赤血球数477±185(×104/dl), ヘマトクリット値455±128%, 血小板数5.3±51(×104/ml)であった。輸血前動脈血, Cell Saver処理血, 処理血輸血後動脈血の赤血球変形能は54.82±21.04(μl/sec), 52.84±11.08, 53.65±19.10(Reid法の変法で測定)であり有意差を認めなかった。またProstaglandin E1(PGE1)投与群と非投与群の処理血変形能は, PGE1投与群が有意に高かった。以上よりCell Saverを用いた回収式自己輸血は回収操作による赤血球の損傷が少なく, 同種血輸血量の節減に有効な手段であると考えられた。また術中PGE1の投与は回収血の変形能を良好に維持すると考えられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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