人工臓器
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遠心ポンプを用いた13日間の左心バイパスから離脱しえた生後9ヵ月の修正大血管転位症の1例
松若 良介松田 暉大谷 正勝笹子 佳門河本 知秀川島 康生
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1989 年 18 巻 4 号 p. 1511-1514

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抄録
開心術後の重篤な左心不全に対し小児用遠心ポンプを用いて13日間の左心バイパス(LHB)を施行しかつ離脱しえた乳児例を経験した. 症例は修正大血管転位症, Ebstein奇型, 三尖弁(機能的左側房室弁)閉鎖不全を伴う生後9カ月の女児である. 進行性の心不全を呈し, 心臓カテーテル直後に急性左心不全, ショック状態となり, 緊急に左側房室弁の人工弁(St. Jgde弁21mm)植込み術を行った. 体外循環から離脱不能であり小児用遠心ポンプ(BP-50)を用い, 解剖学的右室心尖から脱血し上行大動脈へ送血するLHBを行った. 血栓による人工弁のstuck valveのため再手術を要したが, 腎不全以外の合併症の発生はみられず, 13日(302時問)後に離脱に成功した. 感染症のため離脱後56日目に失ったが, 1歳未満乳児においても, 小児用遠心ポンプを用いたLHBが有用であることが示された.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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