最近盛んに使用され始めた高性能膜では膜素材や膜電位により、膜吸着が生じているのではないかと考え、水系実験による薬剤の吸着測定をおこなうと共に、透析患者の薬剤血中濃度を測定した。実験に供した透析膜は、B1-1.OH、B2-1.OH, BK-1.OU, (PMMA), セルロース, KF-201C(EVAL)で、使用した薬剤はリファンピシン、サファゾナムナトリュウム、塩酸アプリンジンである。サファゾナムナトリュウムは、各膜とも7時間経過しても各膜による吸着の影響はなかうた。リファンピシンでは、PMMA(B1-1.OH、B2-1.OH, BK-1.OU)で強い吸着が認められ、EVAL, セルロースでは膜吸着が認められなかった。塩酸アプリンジンでは、やはりPMMA系膜で吸着が認められた。臨床使用時の血中濃度測定でもPMMA膜使用透析では、薬剤吸着に関して同様の結果を得た。薬剤の吸着は、今回の実験より薬剤の分子量や、膜の親水、疎水性といった性質などには影響を受けず、むしろ薬剤の荷電と中空糸膜表面荷電の影響を強く受けていると考えられた。