1990 年 19 巻 2 号 p. 707-710
β2-microglobulin(以下β2MG)の除去を目的とした数多くのHP透析膜が開発されている。拡散だけでβ2MGを除去できれば安価で簡便な治療が可能となる。新しく開発された再生セルロースを膜素材とするHP透析膜AM-EP-19を用いて、拡散によるβ2MG透過性の検討を行った。放射性同位元素で標識したβ2MGを中空糸透析膜一本に充填して一定時間透析実験を行い、中空糸内部の残存溶質濃度を測定し溶質透過係数を求めた。得られた溶質透過係数は、拡散による除去が可能な酢酸セルロースを膜素材とするFB-190UGAと同等に大きく、AM-EP-19も拡散だけで十分β2MGの除去が可能であることがわかった。迷宮細孔理論を用いてAM-EP-19の細孔構造を解析したところ、大孔半径と高膜面開孔率を有することがわかった。各溶質半径に対するクリアランスは通常透析膜に比べ高く、また除去可能な溶質半径も広範囲に渡っていることが確認された。