人工臓器
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新しい補助循環モデル(piggyback heart)を用いた左心補助循環法の研究
高 義昭
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1990 年 19 巻 6 号 p. 1560-1568

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抄録

人工心臓(AH)を患者の心臓とみなし, これに補助心臓(VAD)を装着し, ドノバン縮小型模擬循環回路に接続した新しい補助循環モデル(piggyback-heart)を作成し, 40ml型のVAD(TMG-40-N)の左心補助効果および市販の駆動装置(PBP-20)の駆動方法の検討を行った. 平均大動脈圧(MAP)43~73mmHg total flow 1.8~2.6l/min, 平均肺動脈圧38~43mmHg, LAP 2841mmHg, RAP8~11cmH2Oの左心不全モデルで, TMG-40-Nを駆動圧180~210mmHg, 陰圧50mmHg, rate 100/分で反拍動駆動することにより, 最大1.5~1.9l/minの流量補助および最大32~35mmHgのMAP上昇が得られた. 次に, 左心不全の程度別に, 駆動方法の検討を行い, 高度左心不全ではcounterpulse modeとinternal modeとの間では血行動態にほとんど差は認められなかった. しかし, 軽度左心不全ではinternal modeで駆動すると圧および流量の波動現象(“fluctuation”)がみられ, 左心補助効果は不安定であった. 軽度左心不全ではcounterpulse modeで駆動すべきであると考えられた. “piggyback heart”による新しい補助循環モデルはVADの臨床に即した補助循環効果を見ることができ, 駆動方法の検討を行いうる有用なモデルと考えられた.

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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