抄録
移植人工血管の修復過程の研究の一環として理想的な移植床と思われる大動脈内移植 (嵌入移植と仮称) を試み, その成績を通常移植時のそれと比較したところ極めて迅速,且つ良好な修復過程を示した. これは移植片が極めて栄養に富む周囲組織に囲まれ, 且つ全周にわたり密に接する事により, 布目を通して細胞や線維の侵入がスムースなためと思われる. この嵌入移植片の外面, あるいは内面をsilicone-coatingすると, 内coatingの開存成績が極めて不良であり, 有孔性の問題についても言及した.