人工臓器
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ハイブリッド型人工膵臓;アガロースマイクロビーズ封入ラ島のマウス間同種移植への適用
岩田 博夫小林 和生清水 浩雨宮 浩阿久津 哲造
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1991 年 20 巻 1 号 p. 213-216

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抄録
ラ島をアガロースマイクロビーズに封入したハイブリッド型人工膵臓を試作し、マウス間の同種移植に適用した。ラ島はC57BL/6(H-2, Kb,Db)マウスから単離し、レシピエントはストレプトゾトシンで糖尿病にしたBALB/c(H-2,Kd,Dd)マウスである。移植された5例で、全例術後一週間以内に血糖値は正常化した。移植後血糖値が再び上昇したマウスはいなかった。現在最長生着期間は350日を越えている。移植後235日目に悪性腫瘍で失ったマウスから、マイクロビーズを回収し、その組織像を観察した。235日日を経過しても腹腔内でアガロースマイクロビーズは安定に存在し、またマイクロビーズ内のラ島細胞は核が明瞭に染色されていた。自然発症糖尿病のNODマウスをレシピェントとして用いた移植実験でもほぼ同様な結果が得られた。以上のように同種ラ島を用いた場合、ヒトのI型糖尿病にも十分適用可能なハイブリッド型人工膵臓を開発し得たと考える。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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