抄録
慢性胆汁うっ滞症に対し血液浄化療法による一過性の減黄, 皮膚掻痒感の軽減など有効性が報告されているが, 長期にわたる報告は少ない。今回, 原発性胆汁性肝硬変症2例, 原発性硬化性胆管炎1例に対して, 約3~5年間と長期にわたり計299回の血漿浄化療法を行なった結果, 全例で皮膚掻痒感, 全身倦怠感の軽減が施行期間を通じて認められ, 総ビリルビン, 総コレステロール値の低下あるいは維持がみられ, 一方, 総蛋白, アルブミン値は, 低下することなく保たれた。これらより, 慢性胆汁うっ滞症に対する長期間にわたる血液浄化療法は, 臨床症状ないし所見の改善に寄与していると考えられた。