1991 年 20 巻 1 号 p. 70-75
新素材PEPA(ポリエステル系ポリマーアロイ膜)の低分子蛋白、特にβ2-MGの除去特性について検討した。in vitro吸着実験ではPEPAのβ2-MGの吸着能はpore sizeを上昇させることにより上昇し、PMMA(BK Type)と同等以上の吸着能が得られた。Myoglobin, lysozymeの吸着能もpore size upによる上昇が観察された。牛血漿を用いた循環実験ではin vitroで得られたほどのpore size upによる吸着能上昇の結果は得られなかったが、各種high performance membraneにおけるβ2-MGの除去特性が明確になった。PMMAでは通常の透析時間4時間で、β2-MGはほとんど吸着により除去され、CTA, PS膜では限外濾過により除去され、PEPAでは開始後2時間は吸着による除去、その後は限外濾過による除去が中心になることが明らかになった。PEPAはβ2-MGの除去に関しては吸着、限外濾過共に有効で、HD、HDFいずれの血液浄化法においてもその特性が十分に発揮できるものと考えられた。