人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
ポリエステル系ポリマーアロイ膜透析器PEPAのβ2-microglobulinの除去特性
後藤 健松井 則明中川 成之輔圓尾 樹生吉田 政司
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 20 巻 1 号 p. 70-75

詳細
抄録

新素材PEPA(ポリエステル系ポリマーアロイ膜)の低分子蛋白、特にβ2-MGの除去特性について検討した。in vitro吸着実験ではPEPAのβ2-MGの吸着能はpore sizeを上昇させることにより上昇し、PMMA(BK Type)と同等以上の吸着能が得られた。Myoglobin, lysozymeの吸着能もpore size upによる上昇が観察された。牛血漿を用いた循環実験ではin vitroで得られたほどのpore size upによる吸着能上昇の結果は得られなかったが、各種high performance membraneにおけるβ2-MGの除去特性が明確になった。PMMAでは通常の透析時間4時間で、β2-MGはほとんど吸着により除去され、CTA, PS膜では限外濾過により除去され、PEPAでは開始後2時間は吸着による除去、その後は限外濾過による除去が中心になることが明らかになった。PEPAはβ2-MGの除去に関しては吸着、限外濾過共に有効で、HD、HDFいずれの血液浄化法においてもその特性が十分に発揮できるものと考えられた。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top