1991 年 20 巻 3 号 p. 1032-1036
複数の指標を持つレート応答型心臓ペースメーカーにおけるレート設定にファジィ制御法の考え方を応用し, そのレート制御の可能性に就いて検討した. 麻酔下の雑種成犬(5頭)に発熱物質を投与して発熱させ, その間の体温, 呼吸数, 心拍数などを測定し, このデータを基にして各パラメータのメンバーシップ関数, 制御規則を作成した. 麻酔を施した他の雑種成犬を同様に発熱させ, その体温, 呼吸数のデータを使用して心拍数のファジイ推論を行い, 自発心拍数との比較を行った. その結果, ファジイレートと自発心拍数とは広い温度範囲にわたって良好な一致を示した. 本方法は, 医師がその経験と患者のデータに基づいて患者毎のレート制御プログラムを容易に作成できる可能性も有しており, マルチセンサータイプのペースメーカーのレート設定法として有望と考えられる.