人工臓器
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SJM弁閉鎖音周波数解析
―実験及び臨床的検討―
藤田 康雄林 純一諸 久永斉藤 憲上野 光夫江口 昭治堀 潤一斉藤 義明
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1991 年 20 巻 3 号 p. 915-918

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抄録

シミュレーターを用いてSJM弁閉鎖音の周波数特性を検討し、臨床例と比較した。録音した閉鎖音はデジタル化、FFT処理を行いパワースペクトル曲線で表わした。正常のSJM弁閉鎖音は0.6KHz付近にピークを有し、7KHz付近まで徐々に減衰した。また1.2、1.8、2.4、3.6KHz付近等に小さなピークを有し、SJM弁閉鎖音の固有周波数0.6KHzの高調波が現われると考えられた。正常と考えられる臨床例でも、小さなピークは認めないものの、0.6KHz付近にピークを有する同様の波形を呈した。疑血栓としてフィブリン糊を付着させたSJM弁閉鎖音のスペクトル曲線では、正常弁に比べ0.6~3KHzのパワーの減衰を来した。臨床例では、肺動脈弁位血栓弁の閉鎖音や、脳血栓症を来した僧帽弁位SJM弁の閉鎖音でも同様の所見が認められた。この領域のパワーの減衰がSJM弁の血栓付着を予測する指標になると考えられた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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