1991 年 20 巻 3 号 p. 963-967
X線シネフィルムをもとに、置換術後の2葉弁の定量的運動解析を行った。特に2葉の弁が非同期的運動を行うものに関して解析を行った。解析に用いたシネフィルムはSJM弁6例であり、僧帽弁位5例、大動脈弁位1例であった。解析方法及び解析装置は既に我々が開発を行ってきたシネフィルム画像処理装置を使用した。解析を行った結果、SJM弁における2枚の弁は対称的運動を行っておらず、最大で11.3度の角度差を計測した。また、非対称運動形式も一定ではなく患者によって種々であった。両弁が非対称的運動をする原因としては、弁装着方向、心房細動、血栓等が考えられ、今後更に詳細な検討が必要である。本システムとX線シネフィルムを組み合わせることにより得られる、置換術後の人工弁の運動情報は、生理学的にも臨床的にも非常に重要であると考えられる。