人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
高速振動流が自律神経機能に与える影響
山家 智之仁田 新一片平 美明薗部 太郎永沼 滋柿沼 義人秋保 洋井筒 憲司小林 信一芳賀 洋一松澤 浩田中 元直福寿 岳雄三浦 誠佐藤 尚毛利 平和泉 恭一郎小出 訓竹田 宏橋谷 浩吉沢 誠檜山 浩国葛西 毅橋本 弘之
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 21 巻 5 号 p. 1390-1394

詳細
抄録

われわれは生体には認められない高速振動流を発生する電磁駆動振動ポンプ(VFP)を応用した人工心臓を開発してきた. 本研究においては, VFPの発生する高速振動流が自律神経機能に与える影響について検討を加えるため, 動脈圧の経時的変動を, スペクトル解析法を用いて評価した. 成山羊を用い, 静脈麻酔下に, 左開胸を行い, 左房脱血, 下行大動脈送血方式にてVFPを装着し, 上行大動脈を遮断して完全左心バイパスとした. 左房圧, 動脈圧, 肺動脈流量を計測し, FFTを用いて周波数解析を行い, パワースペクトルを得た. その結果, 高速振動流下においては, 呼吸性変動成分は有意の影響を受けなかったが, Mayer wave変動成分は有意に減少していた. したがって高速振動流という特殊な循環動態が全身麻酔下においても自律神経機能を介した循環系制御システムに影響を与えている可能性が示唆された.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事
feedback
Top