1996 年 25 巻 1 号 p. 187-192
著者らは、成形加工したデバイスの血液接触面にin situでヘパリン及びスルホン化ポリマーを固定化し血液適合性を賦与する表面処理技術を開発した。ポリウレタン(PU)表面にこれらの処理を行い、著者らの開発したEpifluorescent Video Microscopy (EVM)システムを用いてin vitro血液適合性を評価した。XPSによる表面解析では、未処理を除く全ての表面で、ヘパリン及びスルホン化ポリマーの固定化を示す硫黄元素が確認された。ヘパリン固定化PUでは高い抗FXa活性(2.13×10-1IU/cm2)を示したが、スルホン化ポリマー固定化PUは、その1/10以下の活性であった。表面修飾したPUは、いずれも未処理のPUと比較して、血小板粘着量は有意に低値を示した。β-TGは、血小板粘着率と同様の傾向を示したが、C3aはヘパリン固定化PUのみが有意に低値であった。ヘパリン及びスルホン化ポリマー固定化PUは、未処理PUと比較して、EVM実験において血小板粘着/活性化を抑制し、優れた抗血栓性を示した。