腹膜の物質移動を非侵襲的に促進するために、超音波を用いた。家兎in vivo実験では超音波を照射することにより、尿素、クレアチニンの物質移動速度を著しく増大させることができたが、溶質の分子量による大きな違いは見られなかった。促進効果を腹膜ダイアリサンスで評価すると、28,45,100kHzの超音波の照射に対し、尿素ではそれぞれ、159, 1.13, 0.83倍、クレアチニンではそれぞれ1.49, 1.12, 0.94倍の効果が得られた。このことから、超音波による腹膜物質移動の透過促進効果は、照射する超音波の周波数に依存するものと思われた。
家兎壁側腹膜を用いたin vitroの腹膜透過実験を行った。28, 45kHzの超音波の照射に対し、クレアチニンでそれぞれ1.62, 1.49倍の効果が得られた。このことから、超音波による腹膜物質移動の透過促進効果は、in vitroにおいても周波数に依存することがわかった。