抄録
より付加価値のある第2世代の補助人工心臓(VAS)の開発を目指して、生体にない高周波の血流波形を発生する振動流ポンプ(VFP)を用いた埋め込み型VASを開発した。システムは電磁駆動型のVFP本体と、アモルファスを応用した経皮的電力輸送システム等よりなる体内埋め込み部と、体外の電力輸送コイル及び制御用ユニットより構成されている。模擬回路による検討において、101/minまでの拍出が可能であり、動物実験においては振動流ポンプの駆動周波数を変化させることにより、臓器血流配分が変化することが観察され、治療用機器としての興味深い側面が観察された。また慢性動物実験における左心補助実験では、十分な左心補助効果とともに、自律神経機能に影響を与えていることが示唆されていた。以上より本システムは、VASとして十分な基本性能を保持しているのみならず、他の臓器の治療機器として興味深い側面を保持していることが判明した。