抄録
過去4年間にDCM4例にVAS治療を施行し、3例に国循型、1例にTCI社製VASを使用した。術前の左室駆出率は平均12.5%、心胸比は平均69.3%で、術前3例にIABPおよびPCPS補助が施行された。術前心停止症例はVAS補助後も意識回復せず第14病日に死亡した。3例は術後2日以内に人工呼吸器より離脱し、腎機能は1~2週間、肝機能は3~4週間で回復し、2~4週間で歩行可能となった。国循型2例では左室機能の回復は見られず、43日、44日目に死亡した。TCI症例では著明な左室機能の改善が見られたが、26日目にポンプ脱血管より大量出血し40日目に死亡した。末期的DCM症例4例にVAS治療を施行し3例は1カ月以上生存した。特にTCI-VASは左心機能の回復にも有効であった。しかし、補助1カ月後より右心不全の進行や出血などの合併症が見られ、更なる臨床経験の蓄積が必要と考えられる。