人工臓器
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拡張型心筋症に対する補助人工心臓による長期循環補助の効果と問題点
許 俊鋭上田 恵介宮本 直政元山 猛横手 祐二朝野 晴彦荻原 正規半田 宣弘見目 恭一関口 敦尾本 良三
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1996 年 25 巻 3 号 p. 759-764

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抄録
過去4年間にDCM4例にVAS治療を施行し、3例に国循型、1例にTCI社製VASを使用した。術前の左室駆出率は平均12.5%、心胸比は平均69.3%で、術前3例にIABPおよびPCPS補助が施行された。術前心停止症例はVAS補助後も意識回復せず第14病日に死亡した。3例は術後2日以内に人工呼吸器より離脱し、腎機能は1~2週間、肝機能は3~4週間で回復し、2~4週間で歩行可能となった。国循型2例では左室機能の回復は見られず、43日、44日目に死亡した。TCI症例では著明な左室機能の改善が見られたが、26日目にポンプ脱血管より大量出血し40日目に死亡した。末期的DCM症例4例にVAS治療を施行し3例は1カ月以上生存した。特にTCI-VASは左心機能の回復にも有効であった。しかし、補助1カ月後より右心不全の進行や出血などの合併症が見られ、更なる臨床経験の蓄積が必要と考えられる。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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