人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
完全拍動流, 無拍動流人工循環が腎循環および皮膚微小循環動態に与える影響に関する実験的検討:心原性ショックモデルにおける検討
飯田 充塩野 元美折目 由紀彦中田 金一秦 光賢瀬在 明山田 英明柏崎 暁木下 潤一根本 光洋幸島 孝志瀬在 幸安斎藤 敏三
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 25 巻 4 号 p. 821-825

詳細
抄録

心原性ショックにより臓器血流の不均等分布が生じた生体に対し, 完全拍動流人工循環と, 完全無拍動流人工循環が主要臓器に対していかに影響するかを, 腎臓と皮膚に着目して実験的に検討を行った. ブタ10頭(体重39.2±3.6kg)を対象とし, 右心バイパスは遠心ポンプを使用し, 左心バイパスは, 拍動流を空気駆動型補助人工心臓で行い, 無拍動流を遠心ポンプを使用して循環した. 心原性ショックを作成後, 大動脈圧を一定に保った. 脈圧はP群は45.7±9.6mmHg, NP群ではほぼ完全に定常流を示した. 流量は約40ml/kg/minと低かった. 腎皮質血流量においてP群が有意に血流の増加を認め, 腎皮質髄質血流量比において, 拍動流群が不均等分布の改善傾向が見られた. 血流の不均等分布を起こした生体にとって, 脈圧は重要であり, 臓器血流を改善させ, 臓器不全を回避するためには, 無拍動流人工循環下では十分な生体の維持は難しいものと考えられた.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top