人工臓器
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抗血栓性回路使用体外循環の検討
小久 保純
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1997 年 26 巻 6 号 p. 990-996

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抄録

従来の人工心肺回路においては, 異物である人工肺および体外循環回路表面との接触により凝固線溶系・補体系・白血球・血小板が活性化される. 今回, 著者らは全回路をヘパリンコーティングした体外循環を施行し, 生体適合性をコントロール群と比較検討した. ヘパリンコーティング群7例, コントロール群7例を対象とし, ヘパリン投与前, 体外循環開始直後, 30分後, 60分後, 90分後のガス交換能, 血球系, 凝固系, 線溶系, 補体系, 血小板系, 遊離ヘモグロビンをそれぞれ比較した. また, 体外循環終了後, 人工肺・血液フィルタ・除泡材を電子顕微鏡で観察し, その血小板付着程度と形態変化をスコアー化することで両群を比較した. ヘパリンコーティング群では, プラスミノゲンアクチベータインヒビター1とトロンビンアンチトロンビンーIII複合体が有意に産生抑制されていることと, 電顕所見からも有意に血小板形態変化が抑制されていることが認められた.

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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