人工臓器
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心臓血管手術周術期における抗トロンビン剤(argatroban)を用いたPCPSの検討
―heparinとの比較―
岡田 良晴川田 忠典遠藤 慎一保尊 正幸宮本 成基阿部 裕之武井 裕岡田 忠彦池下 正敏山手 昇
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1998 年 27 巻 2 号 p. 394-397

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抄録
PCPSは強力な循環補助効果を有しているが、抗凝固剤の使用、灌流中の凝固因子及び血小板消費の亢進に伴う出血傾向が問題となる。今回我々は出血傾向が特に問題となる心臓血管手術周術期におけるPCPSに対し、選択的抗thrombin剤であるargatrobanを使用し、heparinと比較検討した。Argatroban使用のA群(4例)、heparin使用のH群(3例)について運転開始時及び運転開始後1、2、3日目での血小板数とfibrinogen量、ドレーン出血量を検討した。血小板数の減少はA群が緩徐であった。fibrinogen量は1日目までは急速に減少したが、2日目より増加し、その増加度はA群が著しかった。ドレーン出血量はH群では次第に増加したのに対し、A群では明らかな減少傾向を示した。Argatrobanは血小板凝集能の抑制効果とfibrinogen温存効果を有し、出血が問題となる心臓血管手術周術期のPCPSにおける抗凝固剤としての有用性が示唆された。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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