人工臓器
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可視光を用いたデバイスの新しい表面修飾技術の開発
中山 泰秀阿部 裕輔井街 宏松田 武久
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2000 年 29 巻 1 号 p. 197-202

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抄録

カンファキノン (CQ) への光照射により生成するラジカルの再結合反応性又は重合開始能を利用し, デバイス表面へのハイドロゲルの固定化又はグラフト重合を行った。CQ基化N, N-ジメチルアクリルアミド (DMAAm) 共重合体を塗布した基材に光照射すると, ハイドロゲルの形成・固定化が起こった。処理表面は血液凝固を大幅に抑制した。一方, CQを両末端に有するドデカンを表面と含浸させた高分子基材に対し, DMAAm水溶液中にて光照射を行うと, 含浸面で重合が起こり親水性化された。重合層は水で激しく洗浄しても剥離することなく強固に固定されていた。共焦点レーザー顕微鏡により測定した重合層の厚さは照射強度, 時間, 及びモノマー濃度に伴い増大した。いずれの方法も, 基材を通して表面修飾することが可能であり, 人工心臓の内面を外部からの光照射により修飾することが可能であった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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