Journal of Advanced Science
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エネルギー利用と環境
石油資源のR/Pと価格
Fujio SUDA
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1998 年 10 巻 4 号 p. 220-226

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抄録
20世紀は化石資源の時代であった。そして、20世紀の後半は石油資源の時代であったということができる。しかし、20世紀も余すところ10年という段階で顕在化した地球環境問題は、石油の枯渇よりもむしろその燃焼によるCO2発生の抑制のために、消費を押さえることを要求しているように見える。そのような圧力が曲線(3)を逆走させている可能性もある。だからこそ、石油のR/P値が高い水準に保たれている間に、ポスト石油資源を見い出し、それにシフトして行く必要がある。現状の世界的大不況も、やり方次第で一つの追い風となり得る (消費の低迷が、かえってCO2排出を低下させる) のである。
とはいえ、エネルギー利用においては、21世紀のはじめの20~30年間は石油資源中心で世界は動いていく可能性が高い。資源小国日本の置かれた位置を考えると、石油資源の動向に常に敏感でなければならないことは明らかである。そして、石油資源のR/Pと価格は最も基本的な数値である。ここでは、それらの間に、非常に単純な関係式が成立することが示された。一定の価格に対して、R/Pは多重平衡解を持ち、それらの平衡解の間を強制遷移 (石油危機) するものとしてとらえることができることが分かった。このような定式化はあくまでも一つの試みであり、今後さらにこの式の持つ意味を探っていきたい。
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