日本微生物學會雜誌
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ばくてりをふあーじニ對スル細菌ノ抗ばくてりをふあーじ性并ニばくてりをふあーじニ因スル細菌ノむたちよんニ就テ
ばくてりをふあーじニ關スル實驗 第三報告
小島 克己
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1924 年 18 巻 7 号 p. 799-823

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抄録
でれるd' Herdle 氏ハ、ばくてりをふあーじニ對スル細菌ハ被働的ナラズシテ、反ツテあくちーふニ其傳染ニ抵抗スベク誠ミ、コノ抵抗ハ種々ノ程度ニ於テ達セラレ、多クノモノハ完全ナル免疫Immnitätヲ得ルモノトナセリ。即チばくてりをふあーじノ溶菌作用ニ對シテ一程度マデ細菌ハ之ニ抵抗シ、抗ばくてりをふあーじ性トナルモノタル事ヲ説ケリ。ぐらちあGratia氏ハ大膓菌ニ就キ之ニ關スル稍精細ナル研索ヲ遂ゲ、大腸菌培養其モノヽ中ヨリニ種ノ菌型ヲ分離培養セリ。其一ハばくてりをふあーじノ溶菌作用ニ對シテ鋭敏ニシテ、他ハ之ニ對スル抵抗強キモノトナセリ。而シテ甲菌型ハ速ニ人工養基ニ増殖シ、不働ニシテ、乙菌型ハ除々ニ發育シ、運動活溌ニシテ毒力強シトセリ。氏ハ甲ヲS型、S-Formトシ、乙ヲR型R-Formト名ケタリ。而シテ氏ハ又ばくてりをふあーじノ作用ヲ受ケタル後、尚生存セル大腸菌ヲ、「變化シタル大腸菌」 “modificierte Coli” トナシ、溶解ニ對スル抵抗溶解作用ヲ受ケ易キ性質及粘液状發育ニ三ツノ主要ナル固有性ニヨリ、之ヲ種々ノ菌型ニ分ツベシトナス。而シテ粘液状發育ヲナスモノハ、ばくてりをふあーじ作用ヲ受ケタル後ニ來ルモノト見傚セリ。ばいるBailおつとーOttoえりあう゛あEliava氏等及其他諸家ノ報告ニヨルモ、細菌ハばくてりをふあーじノ作用ヲ受ケタル後、其生存セルモノハ、ばくてりをふあーじノ作用ニ抵抗シテ其溶解ヲ免ルモノタル事ヲ報ジ、且ツ斯クノ如ク變性シタル細菌ハ、其凝集性ヲ減弱若シクハ消失スル事ヲ報ゼリ。ばいる氏ハ又大腸菌及ビ赤痢菌ニ就キ其ころにーノ發育ノ正常菌ニ比シ異レル黙デ擧ゲタリ。おつとー氏及其共同作業者ハ、諸家ノ報告セル抗ばくてりをふあーじ性トナレルちふす菌及ふれきしねる型赤痢菌ガ、どりがるすきー、こんらーぢー氏養基ヲ赤變スルニ至ル事ヲ報ジ、べるぐすとらんどBergstrand氏モ亦いつぴしろん型赤痢菌ガばくてりをふあーじノ作用ヲ受ケタル後抵抗性トナリ、且遠藤氏凝莱培養ヲ赤變ストイヘリ。
予ハ主トシテ赤痢患者ヨリ得タル四十餘株ノばくてりをふあーじニ、業室菌及患者ヨリ分離セル赤痢菌ヲ加ヘテ、多數ノ實驗ヲ遂ゲ、被溶菌ガばくてりをふあーじノ作用ニ對シテ其抵抗性及被溶性ノ一様ナラズ、語ヲ換ヘテ曰ヘバ、ばくてりをふあーじノ細菌ニ對スル作用ガ決シテ一様ナラザル事ヲ實驗シタリ。而シテ中等度以上ノ強サニ於テ作用スル (平板培養試驗ニ於テばくてりをあーじヲ稀釋セズシテ完全ナル菌發育障害ヲ見ルモノ) ばくてりをふあーじヲ以テ完企ニ透明トナレルぶいよん培養中ヨリ、尚生存セル菌ヲ凝菜平板ニ分離シ、其當該ばくてりをふあーじニ對シテ抵抗性トナレルヲ見ルト共ニ、此等ノ變態菌ガ株ヲ異ニセル他ノばくてりをふあーじニ對シテ、尚被溶性ナルヤ否ヤヲ検索シ、終リニばくてりをふあーじニヨリ、むたちよんヲ起シタル赤痢菌ノ種々ノ發育状態、并ニ被凝集牲及糖分解ノ變化ヲ調査シタルヲ以テ、以下序ヲ追フテ茲ニ記載報告スル事トセリ。
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