日本細菌学雑誌
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Borrelia duttomiiにおけるaxial filamentの再確認
吉井 善作
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1955 年 10 巻 9 号 p. 777-785

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抄録

著者はBorrelia duttoniiの電子鏡検に際し, 蒸溜水でplasmoptysisをおこさしめて観察する方法をとつたが, 結果は極めて良好であつた。
本実験により, Borrelia duttoniiの微細構造が明かになつた。即ち, 本スピロヘータ細胞は原形質を包む細胞壁, その外側に密着している帯状構造, 及び之等全体を包むslime layer like soneから成立つていると考えられる。そして著者は, この帯状構造は多数の細線維から構成されていることを解明すると共に, 嘗つてZuelzer, Noguchi等に強調され乍ら, その後認められなかつたaxial filament (軸糸) そのものであると見做すに至つた。
なお, 従来, Borrelia duttouiiに認められていた鞭毛は, 軸糸の崩壁像に過ぎないことを解明した他, 軸糸の機能と分類学的意義について論及した。

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