日本細菌学雑誌
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Serratia marcescensの産生するヌクレアーゼについて
加藤 綾子
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1969 年 24 巻 2 号 p. 103-111

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抄録
Serratia marcescensの培養液中に産生されるヌクレアーゼを分離精製し,その特性について種々検討を加え次のような結論を得た。
1. 源を異にした23株のS. marcescensはすべてヌクレアーゼを産生し,このヌクレアーゼ産生能はこの菌属に比較的constantに出現する性質と思われる。
2. カラム・クロマトグラフィーで精製した分画は,RNA, DNA, RNase ‘core’およびbis P-ニトロフェニール燐酸を無機燐酸脱離なしに分解した。
3. RNAに対する活性とDNAに対する活性は電気泳動的には分離することはできず,ゲル内沈降反応では単一の沈降線を形成した。
4. 精製酵素のRNA分解とDNA分解の至適pHは全く同一であり,また熱に対する不活化の程度も同一であつた。
5. この酵素は,Mg++, Mn++, Fe+++, Fe++で賦活されるが,Hg++, Zn++, EDTA,クエン酸で阻害され,モノヨード酢酸も高濃度では阻害作用を示した。
6. streptolysin産生増強因子を含むRNAまたは膵RNase処置RNAにこの酵素を作用させるとstreptolysin産生能は急激に減少した。
以上の結果を総括すると,Serratia marcescensの細胞外ヌクレアーゼは,エキソヌクレアーゼに属するnon-specific phosphodiesteraseと考えられる。
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