抄録
宮城県名取地区において1964年から1971年までの8年間にわたり, 蚊からブタへの日本脳炎伝播サイクルを同一地点で同一方法によつて解析した結果をまとめ, 1969年以降日本脳炎感染が本州北部で急速に減少しつつある理由として, コガタアカイエカ発生個体数の減少と出現時期の遅れとを指摘した。次にこのコガタアカイエカの減少を支配する要因にっいて解析を試みたところ, 気象条件, とくに蚊の発生に至るまでの気温との相関が注目されたが, 農薬使用量など稲作慣行との関連性を明確に指摘することはできなかつた。