日本細菌学雑誌
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表層構造の異なる肺炎桿菌K-9株とその変異株の血球吸着能とマウス致死性について
高橋 昌巳大島 赴夫碓井 之雄吉井 千鶴子與那覇 朝英
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1982 年 37 巻 6 号 p. 923-930

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抄録

肺炎桿菌K-9株ならびにSoft-agar中で発育形態を異にする変異株A, B, Cに新たに変異株A'を加えた。本変異株のSoft-agar中の集落はLarge round, streaming型を呈し,マッコンキー培地上では大型集落を形成するが非粘張性であり,墨汁法では小莢膜が認められたが電子顕微鏡によるShadowing法では線毛構造として観察された。
本菌および大型莢膜保有親株,莢膜,線毛非保有変異株および線毛保有大腸菌K-12株を用いて血球吸着能,マウス致死性を比較したところ親株はモルモット血球をスライドグラス上では10分以内に凝集せず,試験管内では凝集したのに対し,変異株A', Cおよび大腸菌は両者に凝集した。マンノースに対しては変異株Cが10%で凝集を阻止され,大腸菌では0.01%で阻止されたが親株,変異株A'では本現象は認められなかつた。これら血球凝集の走査電顕像は親株,変異株A'では血球付着面に粘液様構造が観察されたが変異株Cおよび大腸菌には殆ど観察されなかつた。
なお,100%マウス致死効果について親株が102であつたのに対し,変異株A'は108を要し,変異株Cおよび大腸菌では108でマウスを致死させえなかつた。

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