抄録
Lactobacillus casei YIT 9018を加熱殺菌した凍結乾燥標品(LC-9018)のマウスにおけるインターフェロン(IFN)誘起能を検討した。12.5mg/kg量のLC-9018をddYマウスに腹腔内(ip)投与すると,投与18-24時間後をピークとする抗ウイルス活性(320U/ml)が流血中に検出された。同様の抗ウイルス活性はマウス脾由来の単核細胞(mononuclear cells)を1∼100μg/mlのLC-9018とともに37Cで48∼72時間培養した培養上清中にも認められた。この抗ウイルス活性は種特異性を有し,トリプシン,熱(56C, 30min)および酸処理(pH 2.0, 12h)で失活し,直接的にウイルスを不活化せず,複数のウイルスに対して細胞への前処理で効果を示したのでIFNである事が認められた。LC-9018誘起マウス血清IFNは抗マウスIFNγ抗血清の処理でその活性の67%が中和された。また,マクロファージ(Mφ)やT細胞の不活剤で前処理したマウスにLC-9018を投与しても有意なIFN産生は認められず,MφとT細胞がこのIFN産生反応答に関与している事が示唆された。