日本細菌学雑誌
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Gordona属細菌細胞壁由来のミコール酸含有糖脂質(trehalose-2, 3, 6'-trimycolate)による細胞性免疫の増強効果
大坪 義和古川 ますみ藤信 裕美子杉本 信子生藤 正敏加藤 敬香矢野 郁也日笠 穰新家 荘平土肥 義胤
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1989 年 44 巻 2 号 p. 533-539

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抄録

Mycobacteriumに近縁のGordona aurantiaca (Ga)より抽出した新しいミコール酸含有糖脂質であるtrehalose-2,3,6'-trimycolate (GaGM)が宿主の細胞性免疫能を著しく高めることを明らかにした。
リポソームに封入したGaGMの静脈内投与を受けたマウスは,同系腫瘍のチャレンジにより,その脾内に誘導される腫瘍特異的キラーT細胞を,リポソームのみを投与した対照群に比較して,より高く誘導し,また異系腫瘍のチャレンジにより誘導されるアロ反応性キラーT細胞をより高く誘導した。さらに,GaGMリポソーム投与マウスの脾内のナチュラルキラー(NK)活性および,抗体依存性細胞障害(ADCC)活性は,ともに対照群に比較して著明に増強した。すなわち,腫瘍特異的キラーT細胞の誘導およびアロ反応性キラーT細胞の誘導では約2倍に,NK活性の増強で約2倍,ADCC活性では約4倍に増強した。
これらの実験事実から,GaGM投与はインターロイキン2等のサイトカインを効率よく産生に導き,抗腫瘍性免疫の増強に関与しうる可能性を有することが示唆された。

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