日本細菌学雑誌
Online ISSN : 1882-4110
Print ISSN : 0021-4930
ISSN-L : 0021-4930
G-CSF投与マウス末梢血顆粒球機能の増加と感染抵抗性の増強
四ノ宮 成祥鶴 純明桂 善也則武 昌之萱嶋 信介六反田 亮
著者情報
ジャーナル フリー

1991 年 46 巻 5 号 p. 847-854

詳細
抄録
顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)投与後のマウス末梢血顆粒球の活性と感染抵抗性に及ぼす影響に関しての解析を行った。rhG-CSF 10μgを5日間腹腔内に投与した後の末梢血白血球数は正常の約2倍に増加した。分画の算定とフローサイトメトリーのscattergramでは,成熟した顆粒球の分画が増加していた。Phorbol myristate acetate (PMA)刺激後,rhG-CSF投与マウスの顆粒球のH2O2産生は増加し,活性の増大した分画が認められた。この活性の増大した分画は正常顆粒球の4-6倍のH2O2産生能を示した。またrhG-CSF投与マウスの顆粒球は,貪食能の増強やMac-1表現の増加が認められた。このようなrhG-CSF投与マウスで大腸菌静脈内感染に対する抵抗性の増強が認められた。これらの結果より,G-CSFによる活性化を受けた顆粒球が,感染性微生物に対する防御において有効に働くことが示唆された。
著者関連情報
© 日本細菌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top