抄録
顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)投与後のマウス末梢血顆粒球の活性と感染抵抗性に及ぼす影響に関しての解析を行った。rhG-CSF 10μgを5日間腹腔内に投与した後の末梢血白血球数は正常の約2倍に増加した。分画の算定とフローサイトメトリーのscattergramでは,成熟した顆粒球の分画が増加していた。Phorbol myristate acetate (PMA)刺激後,rhG-CSF投与マウスの顆粒球のH2O2産生は増加し,活性の増大した分画が認められた。この活性の増大した分画は正常顆粒球の4-6倍のH2O2産生能を示した。またrhG-CSF投与マウスの顆粒球は,貪食能の増強やMac-1表現の増加が認められた。このようなrhG-CSF投与マウスで大腸菌静脈内感染に対する抵抗性の増強が認められた。これらの結果より,G-CSFによる活性化を受けた顆粒球が,感染性微生物に対する防御において有効に働くことが示唆された。