日本細菌学雑誌
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化膿連鎖球菌のビルレンス因子, M蛋白の役割とその発現調節
岡田 信彦
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1996 年 51 巻 2 号 p. 571-581

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抄録

化膿連鎖球菌は上気道および皮膚において急性化膿性炎を起こすほか, 近年においては毒素ショック様症候群の起因菌として注目されている。本菌の病原性を規定する重要なビルレンス因子の1つとしてM蛋白が知られている。M蛋白はトロポミオシン様構造を呈する菌体表層蛋白で, その役割として多形核白血球による食菌作用から菌を防御することが古くから知られているほか, 菌の皮膚・表皮細胞への付着に直接関与し, このとき表皮細胞上の membrance cofactor protein (MCPあるいはCD46) を宿主レセプターとして認識すること, さらにヒト血奬蛋白であるH因子, キニノーゲン, アルブミンおよび免疫グロブリンとの結合能を持つこと, などがわかってきている。また, その発現は外界の二酸化炭素濃度に依存することが明らかにされている。

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