日本細菌学雑誌
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サルモネラの病原性に関わる最近の話題
松井 英則
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1997 年 52 巻 4 号 p. 693-702

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抄録

Pl (pathogenicity island) とは, 病原細菌の染色体上に存在するビルレンス遺伝子クラスターである。Salmonella では, IVET (in vivo expression technology) や STM (signature-tagged mutagenesis) システムが用いられ, 感染マウス内で実際に発現しているビルレンス遺伝子が検索されている。S. choleraesuis serovar Typhimurium の染色体上63 centisome にマップされた SPI1 (Salmonella pathogenicity island 1) には, 30の遺伝子が同定されているが, その中の分泌蛋白質は, タイプIIIの分泌機構をとっている。また上皮細胞への侵入性に関わる遺伝子群は, ShigellaYersinia のプラスミド上の侵入性遺伝子群と類似した構造をとっている。最近, これら侵入性遺伝子の発現調節に, PhoP/PhoQの二成分系の関わりが明らかとなった。PhoPは, spv (Salmonella plasmid virurence) 遺伝子の発現調節にも関わっており, 2価力チオンの濃度変化をシグナルとして種々のビルレンス遺伝子の発現調節を担っていることが明らかとなってきた。

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