日本細菌学雑誌
Online ISSN : 1882-4110
Print ISSN : 0021-4930
ISSN-L : 0021-4930
海外旅行者から発見された赤痢患者および検出赤痢菌についての解析
1979年∼1995年の成績
上田 泰史鈴木 則彦宮城 和文野田 孝治竹垣 友香子古川 徹也廣瀬 英昭橋本 智矢野 周作宮田 義人田口 真澄本田 武司
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 52 巻 4 号 p. 735-746

詳細
抄録
1979年∼1995年の17年間に大阪空港および関西空港から入国した海外旅行者は36,780,440名であり, 検疫時に下痢の申告をした者は84,777名 (0.23%) であった。そのうち29,587名について検便を行い9,766名 (33.0%) の患者から下痢原因菌が検出された。その内訳はプレシオモナス3,234名, サルモネラ2,236名, 毒素原性大腸菌1,621名, 腸炎ビブリオ1,959名, 赤痢菌1,242名の順であった。これらの赤痢患者から2菌型同時検出例を含めると1,278株の赤痢菌が検出され, その症例について, 推定感染国, 検出菌の血清型 (Shigella sonnei についてはコリシン型も実施) および薬剤感受性について解析した。推定感染国別にみた患者数はインドが最も多く, 53.4%を占めた。検出された菌株の亜群はS. sonnei (57.8%) が最も多く, S. flexneri (29.8%), S. boydii (8.4%), S. dysenteriae (4.0%) の順であった。S. sonnei のコリシン型は6型と0型が多く, 両者で73.6%を占めた。薬剤に対する耐性率は, S. dysenteriae 92.2%, S. sonnei 89.4%, S. flexneri 87.1%, S. boydii 84.9%といずれも高率であり, とくにS. flexneri の耐性率に経時的な上昇が目立った。
著者関連情報
© 日本細菌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top