日本細菌学雑誌
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DNAワクチンの現状と展望
感染症制圧のための新たなアプローチ
佐々木 津福島 淳奥田 研爾
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1998 年 53 巻 2 号 p. 407-424

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抄録

この数年の間にワクチン研究の分野で新しいアプローチが確立された。微生物の抗原遺伝子を動物に接種すると生体内で抗原タンパクが合成され, 抗原特異的な液性・細胞性免疫を誘導することができ, かつ接種を受けた動物は微生物に対する防御的免疫を獲得するというものである。この新しいワクチンの手法はDNA vaccination, genetic immunization などと呼ばれ, 従来のワクチンにはない様々な特徴を備えていることから多くの研究者の関心を集め, 急速に知見が蓄積されつつある。この免疫法の邦語訳はまだ定まっていないようであるが, この総説ではDNAワクチンと呼ぶ。DNAワクチンの特徴としては強力な細胞性免疫の誘導能という生ワクチンの長所と, 生きた病原体を使用しないため安全性が確保されるというペプチドワクチンの長所を具備している点があげられる。合成が容易で保存性に優れ, 経済性, 長期にわたる免疫反応が持続するなどの面で従来のワクチンより優れており, 次世代のワクチンとして脚光を浴びている。本総説ではこの新しい免疫法に関する研究の最近の動向を総括し, われわれが進めているヒト免疫不全ウィルス (HIV) を対象としたDNAワクチンの研究にも触れながら今後の課題と展望について述べる。

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