日本細菌学雑誌
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膜輸送の新パラダイム
分子引き抜き転移機構による脂質セラミドの小胞体-ゴルジ体間選別輸送
花田 賢太郎
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2005 年 60 巻 4 号 p. 531-537

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抄録

生体膜は, タンパク質と脂質とをその主要構成因子としている。小胞体で合成された膜タンパク質は, 輸送小胞を介して他のオルガネラへと移動する。膜脂質の代謝には細胞内の異なる部位で起こる複数のステップを経ることがしばしば必要であり, そのためには, 脂質分子も目的の部位に的確に移動しなければならないが, 膜脂質の細胞内選別輸送メカニズムはどのタイプの脂質分子に関しても長らく未知のままであった。最近, 脂質セラミドを小胞体からゴルジ体へと特異的に輸送する分子装置が発見され, どのようにして膜脂質がオルガネラ間を選別輸送されているのかがやっと分子レベルで解明され始めている。膜脂質の選別輸送は, 膜タンパク質選別輸送とは異なり, 特定の脂質分子を供与膜から引き抜いて目的のオルガネラ膜へと運ぶという分子引き抜き転移メカニズムで行われているらしい。

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