2005 年 60 巻 4 号 p. 545-549
細菌の産生するホルモン様物質 (autoinducer) を介した病原因子発現システム, Quorum-sensing 機構が注目されている。最近になって, 本機構が同種細菌の病原因子発現だけでなく, 異種細菌あるいは生体細胞に対しても影響を与えていることが報告され, 生物界における Inter-species, Inter-kingdom communication の視点からも新しい知見が得られている。さらに本機構が, 病原体によるホルモンやサイトカインの認識とも関連しているという事実が確認され, Quorum-sensing 機構のもつ多彩な生物活性がクローズアップされた。“病原体はどうやって危険を感知しているのか”, Quorum-sensing 研究は大変魅力的なテーマへと展開している。