Breeding Research
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ISSN-L : 1344-7629
Research Paper
Fluctuation in genetic effects with introduced early- or late-heading-date gene alleles in near-isogenic lines with different genetic backgrounds in rice
Kiyosumi HoriMitsuo TakamatsuJun HosoiTaneaki TsuganeReiko HayashiManabu WatanabeTatsumi MizubayashiTsuyu AndoAyahiko ShomuraYoshiyuki MukaiUtako YamanouchiToshio Yamamoto
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2023 Volume 25 Issue 2 Pages 123-139

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摘 要

温暖化に対応した早生化及び晩生化は水稲の重要な改良目標である.しかしながら,改変された出穂期表現型の安定性や他の農業形質に与える多面効果は利用する出穂期遺伝子ごとに異なるため,育種における不確定要素となっている.本研究では,長野県育成系統「信交538号」,千葉県育成品種「ふさおとめ」及び「ちば28号」の遺伝背景に,Ghd7Hd16及びHd1遺伝子の早生型または晩生型アレルを導入した準同質遺伝子系統群を作出して遺伝効果を評価した.「信交538号」の遺伝背景では,Ghd7遺伝子の早生型アレルを導入した系統の出穂期改変効果は9日から13日の早生となり,Hd16遺伝子の早生型アレルを導入した系統の出穂期改変効果は1日早生から8日晩生であった.他の農業特性については,Ghd7導入系統は,短稈で穂数が増加したが,玄米重が減少した.Hd16導入系統はほぼ同等であった.「ふさおとめ」及び「ちば28号」の遺伝背景では,Hd1遺伝子の晩生型アレルを導入した系統の出穂期改変効果は約13日の晩生,Hd16遺伝子の晩生型アレルを導入した系統は約3日の晩生,Hd1及びHd16遺伝子の晩生型アレルを導入した系統は約28日の晩生となった.Hd1導入系統は他の導入系統と比較して,「ふさおとめ」や「ちば28号」に最も近い農業特性を示した.これまでに育成された出穂期に関する準同質遺伝子系統のデータも含めて検討した結果,Ghd7遺伝子と比較してHd1Hd16遺伝子の改変で得られる出穂特性は遺伝背景や環境の影響を受けやすいと推定された.出穂期の改変を目的としたゲノム育種においては,導入遺伝子の特性を事前に評価,検討することが必要である.

Translated Abstract

Near-isogenic lines (NILs) with introduced external gene alleles are good breeding materials for developing novel rice cultivars with a high agronomic performance. We developed NILs by introducing the Ghd7, Hd1, and Hd16 gene alleles showing an early or late heading date in the genetic backgrounds of three rice cultivars, “Shinko 538”, “Fusaotome”, and “Chiba 28”. The NILs were developed within 5 years by using continuous backcrossing and whole genome DNA marker-assisted selections with each backcrossed generation. The NILs with an introduced early-heading-date allele of the Ghd7 gene had a heading date 9 to 13 days earlier, in comparison with their recurrent cultivar, “Shinko 538”. The NILs with an early-heading-date allele of the Hd16 gene had a heading date from about 1 day earlier to about 8 days later. In the genetic backgrounds of “Fusaotome” and “Chiba 28”, NILs with the late-heading-date alleles of the Hd1, Hd16, and Hd1 + Hd16 genes had heading dates which were about 13 days, 3 days, and 28 days later, respectively, than their recurrent cultivars. The agronomic traits were nearly the same between recurrent cultivars and the NILs with the late-heading-date alleles of the Hd1 gene in the genetic backgrounds of “Fusaotome” and “Chiba 28”. By comparing the evaluation scores in previously developed NILs, the Ghd7, Hd17, and Hd18 gene alleles stably improved the heading date and other agronomic traits, while the Hd1 and Hd16 gene alleles showed variations depending on the recurrent parents and growth environment. For the efficient development of novel climate-resilient rice cultivars derived from NILs, it is necessary to elucidate in detail the genetic interactions between each introduced gene allele and its genetic background.

緒言

イネの全ゲノム塩基配列が2004年に解読された後,その情報を利用して,ストレス耐性,病虫害抵抗性,収量性等の重要農業形質を制御する遺伝子が数多く単離されている(IRGSP 2005, Ashikari and Matsuoka 2006).イネゲノム中には約37,000個の遺伝子が存在しており,その中の約3,000個の遺伝子については,生育段階のどの組織で発現するのか,環境ストレスや病害ストレスに応答するのか,他のタンパク質とどのように協調して機能するのか等の詳細な分子機能が解明されている(Kumagai et al. 2019, Sakai et al. 2013).現在,イネゲノム解析研究の基礎的成果が水稲育種へ応用利用されつつあり,これまでに同定された遺伝子あるいは遺伝子近傍の塩基配列の違いを識別するDNAマーカーを開発し,育種選抜途中の分離集団において標的遺伝子を持つ系統を選抜する「DNAマーカー育種」が進められている(川本 2009, 安東 2014).例えば,いもち病抵抗性や縞葉枯病抵抗性の強化を目的として,Pb1遺伝子とStvb-i遺伝子を導入した「さとじまん」や「ミルキープリンセス」,Pi21遺伝子を導入した「ともほなみ」,Pi35遺伝子を導入した「ゆきのはな」等が育成されている(ゲノム育種マーカー情報サイト:https://www.naro.go.jp/genome/database/春原ら 2007, 佐藤ら 2008, 2013, 坂ら 2010).他にも,トビイロウンカ抵抗性遺伝子Bph11Pb1Stvb-iと共に導入した「はるもに」,ツマグロヨコバイ抵抗性遺伝子Grh3遺伝子を導入した「ゆめまつり」,一穂籾数を増加させるGn1b遺伝子を導入した「あきだわら」,低アミロース性遺伝子qAC9.3を導入した「ゆきさやか」等が育成されている(加藤ら 2008, 安東ら 2011).

また,DNAマーカー選抜と連続戻し交雑を併用して,導入遺伝子の周辺の染色体領域だけが供与親品種型で,それ以外のほとんどのゲノム領域が反復親品種型(既存品種型)となった準同質遺伝子系統が作出され,新品種として利用されている(井澤ら 2001, 佐々木ら 2002, Ishizaki et al. 2005, Takeuchi et al. 2006, 小島ら 2003, Takeuchi 2011, 山口ら 2015, Kobayashi et al. 2018, 小島ら 2018, 岡本ら 2021, 大岡ら 2021, Ookawa et al. 2022).戻し交雑育種法は反復親の農業特性を保持したまま特定の形質のみが変更されることから,優れた既存品種の特性を損ねることなく改良が可能な有効な手法である.これまでに,国内で最も多く作付けされている「コシヒカリ」の改良を目指して,葉いもち病抵抗性遺伝子PiaPibPizt等を導入して病害抵抗性を強化した「コシヒカリ新潟BL」品種群(12品種)や「コシヒカリ富山BL」品種群(9品種)が育成されている.Pb1遺伝子とStvb-i遺伝子を「あいちのかおり」に導入した「あいちのかおりSBL」,Stvb-i遺伝子を「ふくまる」に導入した「ふくまるSL」,Bph11遺伝子を「ヒノヒカリ」に導入した「関東BPH1号」等も開発されている.また,複数の遺伝子を集積した品種の育成も進められており,「コシヒカリ」に半矮性遺伝子Sd1を導入した「コシヒカリつくばSD1号」や「ヒカリ新世紀」,種皮の着色遺伝子RcRdを導入した「富山赤78号」,Kala1Kala2及びKala3を導入した「富山黒75号」,いもち病抵抗性遺伝子pi21及びPita,短稈遺伝子Sd1及び高温登熟耐性遺伝子Apq1を導入した「富富富」,強稈性遺伝子SCM-1SCM-2及びSMC-3を導入した「さくらプリンス」等が育成され作付けされている.

イネの出穂期は,品種の栽培適地や作期,収量や穀粒品質を決める大きな要因である(Thomas and Vince-Pure 1997, Izawa 2007, Fujino et al. 2022).北海道や東北地方等では,出穂期が遅い品種は秋以降の低温により十分な登熟が得られない.反対に,本州以西地域では,出穂期が早い品種は生育期間が足りずに植物体が小さくなり,収量が減少する.このようなイネの生育そのものに関わる要因として重要であるとともに,効率的な農業経営の観点から,収穫時期を分散するために,早生から晩生まで異なる出穂期の品種群を地域ごとに準備する必要もある.これまでに,海外のインディカ品種や日本国内のジャポニカ品種を利用して,イネの出穂期の違いを制御するHd1 (Se)やGhd7 (E1)を含む30個以上の遺伝子が単離・同定されており,各遺伝子の分子機能や遺伝子間の相互関係が明らかになっている(Yano et al. 2000, Xue et al. 2008, Hori et al. 2016, Cao et al. 2021, Zhou et al. 2021).この中で,9個の出穂期遺伝子(Hd1 (Se),Hd6 (E3),Ghd7 (E1),Hd16Hd17 (E2),Hd18DTH8 (Hd5),OsPRR37 (Hd2),OsHESO1)が,日本国内の水稲品種において出穂期の自然変異に関与している(谷坂ら 1992, Wei et al. 2010, Matsubara et al. 2012, Koo et al. 2013, Hori et al. 2013, Shibaya et al. 2016, Yano et al. 2016, Matsubara and Yano 2018).これらの出穂期遺伝子についても,既存水稲品種の出穂期改変を目指したDNAマーカー育種に用いられており,「コシヒカリ」に出穂期遺伝子Hd1の早生化アレルを導入した「コシヒカリ関東HD1号」,出穂期遺伝子DTH8Hd5)の晩生化アレルを導入した「関東HD2号」,「ミルキークイーン」にHd1の早生化アレルを集積した「ミルキーサマー」やDTH8の晩生化アレルを集積した「ミルキーオータム」等が育成されている(竹内ら 2008, 2013, Kobayashi et al. 2018).

DNAマーカー選抜育種の過程で,特定の遺伝子アレルを導入した後代系統において,その導入遺伝子の形質改良効果が表現型に現れない事例が存在する.出穂期遺伝子を導入した準同質遺伝子系統を作出する際には,一部の遺伝背景品種で予想と異なる出穂期の後代系統が出現する場合がある(井出ら 2018, 石森ら 2020, Hori et al. 2022).このような事例がみられる理由は複数考えられるが,仮にゲノム組成的には同質化が十分だったとしても導入遺伝子と遺伝背景あるいは環境との相互作用によって期待する表現型が得られないことは想定される.出穂期の自在な改変を目指した「デザイン育種」を確立するためには,この問題を念頭に置く必要がある.様々な遺伝背景品種における育種選抜事例やそれらの多様な環境条件での表現型の事例を増やすことで,導入する出穂期遺伝子アレルと遺伝背景あるいは環境との相互関係を,正確に事前予測できるようになると期待される.

本研究では,日本の水稲品種の早晩生の違いに貢献した3種類の出穂期遺伝子(Hd1Ghd7及びHd16)の早生型または晩生型アレルを,長野県あるいは千葉県において育成された3種類の品種・系統「信交538号」,「ふさおとめ」,「ちば28号」に導入した準同質遺伝子系統群を作出した.そして,これらの準同質遺伝子系統群の栽培試験により,導入した出穂期遺伝子による早晩性の改良効果及び農業特性への影響を調査した.

材料及び方法

1. 出穂期遺伝子を導入した準同質遺伝子系統の作出

長野県育成系統「信交538号」は,大粒で多収,短稈かつ良食味であり,耐冷性,高温登熟性,耐倒伏性,千粒重に優れる早生有望系統である.長野県では標高1,000 m付近まで水稲が作付されており,「信交538号」の特性を付与した極早生極早熟の高冷地向け新品種が求められている.そこで,「信交538号」をさらに10日程度早生にした準同質遺伝子系統を作出するために,2013年から2017年に戻し交配及びDNAマーカー選抜を実施した(図1).「信交538号」と「信交354号(Ghd7供与親)」を交配して取得したF1個体に,「コシヒカリBL3-2(Hd16供与親)」をさらに交配した三系F1個体を取得した.Ghd7Hd16の両方をヘテロ接合型に持つF1個体を選抜した後,「信交538号」を戻し交配してBC1F1個体を取得した.さらに連続戻し交配を行い,Ghd7またはHd16をヘテロ接合型に持つBC4F1個体を取得した.BC4F2世代の戻し交配後代集団の中から,全ゲノムSNP遺伝子型調査により遺伝背景が最も「信交538号」型に置換された個体を選抜した.この個体の自殖を進めてGhd7またはHd16のゲノム領域だけが供与親型で,それ以外のゲノム領域が「信交538号」型のBC4F4世代を準同質遺伝子系統として選抜した.

図1.

「信交538号」,「ふさおとめ」及び「ちば28号」の準同質遺伝子系統群の育成経緯.

千葉県育成品種「ふさおとめ」と「ちば28号(ふさこがね)」は,早生・中生品種として合わせて県内作付面積の25%以上を占めている.千葉県では,稲作の担い手が大規模経営体へ移行しつつある中,良質で倒伏に強く収穫期の分散可能な晩生新品種が望まれている.そこで,「ふさおとめ」と「ちば28号」を10日以上晩生にした準同質遺伝子系統を作出するために,2014年から2018年に戻し交配及びDNAマーカー選抜を実施した(図1).「日本晴」(Hd1Hd16供与親)と「ふさおとめ」または「ちば28号」を交配して取得したF1個体に,「ふさおとめ」または「ちば28号」を戻し交配してBC1F1個体を取得した.さらに連続戻し交配を行い,Hd1のみ,Hd16のみ,Hd1及びHd16をヘテロ接合型に持つBC4F1個体を取得した.BC4F2世代の戻し交配集団の中から,全ゲノムSNP遺伝子型調査により遺伝背景が最も「ふさおとめ」または「ちば28号」型に置換された個体を選抜して,自殖した.Hd1のみ,Hd16のみ,またはHd1及びHd16のゲノム領域だけが供与親型で,それ以外のゲノム領域が「ふさおとめ」または「ちば28号」型のBC4F4世代を準同質遺伝子系統として選抜した.

2. 出穂期遺伝子アレルと全ゲノムSNP遺伝子型の調査

作出系統の遺伝子供与親品種である「信交534号」,「コシヒカリBL3-2」及び「日本晴」,及び反復親品種の「信交538号」,「ふさおとめ」及び「ちば28号」について,9種類の既知の出穂期遺伝子(Hd1 (Se),Ghd7 (Hd4),DTH8 (Hd5),OsPRR37 (Hd2),Hd6 (E3),Hd16Hd17 (E2, Hd3b),Hd18OsHESO1)のアレルを各遺伝子特異的なDNAマーカーを用いて判定した(図2,付表1,付図1,Yano et al. 2000, Takahashi et al. 2001, Xue et al. 2008, Wei et al. 2010, Matsubara et al. 2012, Koo et al. 2013, Hori et al. 2013, Shibaya et al. 2016, Yano et al. 2016).この中で,6個の出穂期遺伝子(Hd1 (Se),Ghd7 (Hd4),Hd6 (E3),Hd16Hd17 (E2, Hd3b),Hd18)では親品種間で多型が存在し,3個の出穂期遺伝子(DTH8 (Hd5),OsPRR37 (Hd2),OsHESO1)では多型が存在しなかった.

図2.

反復親品種及び供与親品種で多型を示した出穂期遺伝子(Ghd7Hd1Hd6Hd16Hd17及びHd18)のDNAマーカー判定結果.

「信交538号」,「ふさおとめ」及び「ちば28号」の育成途中のBC1F1,BC2F1,BC3F1,BC4F1からBC4F3世代の各戻し交配後代集団における遺伝背景は,日本型品種群内で多系頻度の高い768個の一塩基多型(single nucleotide polymorphisms,SNPs)マーカーセットを用いたIllumina Beads Station 500Gシステム及びGoldenGate BeadArrayプラットフォームにより調査した(Nagasaki et al. 2010).

最終的に選抜された準同質遺伝子系統のうち,768個のSNP遺伝子型が共通な姉妹系統を代表した4系統(G3,H11,105,114)について,次世代シーケンサーにより残存ゲノム領域を確認した.遺伝子供与親品種,反復親品種及びBC4F4世代の準同質遺伝子系統について,各系統の葉からCTAB法によりゲノムDNAを抽出して,サンプルの品質を確認後にライブラリーを作成した.Illumina Hiseq X Tenを用いた100 bpまたは150 bpペアエンドシーケンスにより,1系統あたり8~12 Gbのデータ量の全ゲノム塩基配列を取得した.取得したゲノム配列は,CLC Genomics Workbenchソフトウェアを用いて,フィルタリング後に「日本晴」のリファレンス配列IRGSP1.0に沿って整列して,遺伝子供与親品種及び反復親品種の全ゲノム遺伝子型を作成した(付図2).その後,親品種の全ゲノム配列を比較して,各品種を識別可能なSNPsを抽出した.各染色体上に整列した塩基配列を50 kbごとに区切り,どちらの親品種に由来するのかを判定し,グラフ遺伝子型を描画するとともにSNP数に基づき残存ゲノム領域を計算した.

3. 出穂期遺伝子導入系統の農業形質評価

2016年と2017年に,「信交538号」の準同質遺伝子系統を長野県須坂市(標高334 m,N36.66, E138.29)及び長野県諏訪郡原村(標高1020 m,N35.97, E138.22)の試験圃場で栽培し,出穂日や他の農業形質を調査した.須坂市の試験圃場では5月10日前後,原村の試験圃場では5月25日前後にいずれも中苗3本植えで移植し,栽植密度は株間15 cm畝間30 cm(22.2株/m2)とした.須坂市では基肥としてBB-C046をN 4 g/m2,幼穂形成期にNKC201をN 2 g/m2の分施肥体系で合計N 6 g/m2とした.原村では基肥のみとしてBB-C284をN 12 g/m2施用した.農業形質の評価は生産力検定試験の慣行法に準じて行い,UPOVガイドライン及びイネ育種マニュアル(山本ら 1996)の手法に沿って実施した.出穂日は,準同質遺伝子系統を1列25個体の4列植えで栽培して,系統内の50%の穂が出穂した日を達観により調査した.耐冷性試験は冷水かけ流し法で行い,葉いもち病抵抗性及び穂いもち病抵抗性は特性検定調査の判定基準に従って評価した.

2018年と2019年に,「ふさおとめ」及び「ちば28号」の準同質遺伝子系統を千葉県香取市の試験圃場(N35.92, E140.50)で栽培し,出穂日や他の農業形質を調査した.各形質評価は生産力検定試験の慣行法に準じて行った.2018年は,移植日5月9日,株間15 cm × 18 cm,畝間35 cmの並木植えで各系統24個体栽培して出穂期を調査した.2019年は,移植日4月26日,栽植密度18.5株/m2の4本植えで各系統100株栽培して,出穂期,成熟期,稈長,穂長,穂数,倒伏程度,収量性等の農業形質に加えて,穂いもち病や紋枯病の罹病程度,食味官能試験値や玄米品質等を調査した.出穂日は,系統内の40%の穂が出穂した日を達観により調査した.

4. 既報の出穂期の準同質遺伝子系統群との比較解析

作出した準同質遺伝子系統の改変効果や農業形質への影響を広く比較するために,先行して実施された出穂期改変を目的としたゲノム育種の概要と効果を要約した.これまでに報告されている,Hd1Hd16及びHd18遺伝子を「東北206号」の遺伝背景品種に導入した系統群(石森ら 2020),Hd1Hd16Hd17及びHd18遺伝子を「あいちのかおりSBL」に導入した系統群(井手ら 2018),Hd16及びHd18遺伝子を「ちくし89号」に導入した系統群(石橋ら 2020),Hd16遺伝子を「てんたかく」に導入した系統群(山口ら 2018),Hd17遺伝子を「つや姫」に導入した系統群(阿部ら 2018)及びHd1遺伝子を「みずかがみ」に導入した準同質遺伝子系統群(西村ら 2017)の評価結果を収集した.また,「コシヒカリ」あるいは「日本晴」の遺伝背景にこれら遺伝子を導入して評価した先行研究の結果も並べて評価した(Matsubara et al. 2012, Hori et al. 2013, Shibaya et al. 2016).

結果

1. 「信交538号」の準同質遺伝子系統の出穂期改変効果と農業特性

「信交538号」及び長野県育成品種・系統の出穂期遺伝子アレル構成を調査して,導入すべき出穂期遺伝子アレルを選定した(表1,図2).「信交538号」はGhd7及びHd16遺伝子の晩生型アレルを持っていること,及び,育種目標として10日程度の早生化を目指すことから,Ghd7またはHd16遺伝子の早生型アレルを導入した系統を作出することとした.Ghd7の早生型アレルの供与親として「信交534号」を,Hd16の早生型アレルの供与親として「コシヒカリBL3-2」を選定し,連続戻し交配と全ゲノム遺伝子型調査を行った(図1).交配開始から5年間で,Ghd7の早生型アレルを導入した3系統(系統番号G3,G4,G24,以下同じ),及び,Hd16の早生型アレルを導入した3系統(H11,H26,H29)の合計6系統の準同質遺伝子系統を作出した(表2).

表1.

本研究で利用した水稲品種・系統の出穂期遺伝子アレル構成

品種・系統 Hd1
Os06g0275000
(Se)
Ghd7
Os07g0261200
(E1)
Hd16
Os03g0793500
Hd6
Os03g0762000
(E3)
Hd17
Os06g0142600
(E2)
信交538号 晩生型(Kos型) 晩生型(Kos型) 晩生型(Nip型) 早生型(Kos型) 晩生型(Kos型)
信交534号 最晩生型Gin型) 早生型Hay型) 晩生型(Nip型) 晩生型Kasa型) 晩生型(Kos型)
コシヒカリBL3-2 晩生型(Kos型) 晩生型(Kos型) 早生型Kos型) 早生型(Kos型) 晩生型(Kos型)
ふさおとめ 早生型(Aki型) 晩生型(Kos型) 早生型(Kos型) 早生型(Kos型) 晩生型(Kos型)
ちば28号(ふさこがね) 早生型(Aki型) 晩生型(Kos型) 早生型(Kos型) 早生型(Kos型) 晩生型(Kos型)
日本晴 晩生型Kos型) 晩生型(Kos型) 晩生型Nip型) 早生型(Kos型) 早生型Nip型)
コシヒカリ 晩生型(Kos型) 晩生型(Kos型) 早生型(Kos型) 早生型(Kos型) 晩生型(Kos型)
品種・系統 Hd18
Os08g0143400
DTH8 (Hd5)
Os08g0174500
OsPRR37 (Hd2)
Os07g0695100
OsHESO1
Os01g0846450
信交538号 早生型(Kos型) 晩生型(Kos型) 晩生型(Kos型) 早生型(Kos型)
信交534号 晩生型Hay型) 晩生型(Kos型) 晩生型(Kos型) 早生型(Kos型)
コシヒカリBL3-2 早生型(Kos型) 晩生型(Kos型) 晩生型(Kos型) 早生型(Kos型)
ふさおとめ 晩生型(Hay型) 晩生型(Kos型) 晩生型(Kos型) 早生型(Kos型)
ちば28号(ふさこがね) 晩生型(Hay型) 晩生型(Kos型) 晩生型(Kos型) 早生型(Kos型)
日本晴 早生型Kos型) 晩生型(Kos型) 晩生型(Kos型) 早生型(Kos型)
コシヒカリ 早生型(Kos型) 晩生型(Kos型) 晩生型(Kos型) 早生型(Kos型)

1) Nipは「日本晴」型,Ginは「銀坊主」型,Akiは「アキヒカリ」型,Kasは「Kasalath」型,Hayは「はやまさり」型,Kosは「コシヒカリ」型を示す.石森ら(2020)に沿った表記とした.

2) は品種間で異なる遺伝子アレルを,太字は本研究で準同質遺伝子系統に導入した遺伝子アレルを示す.

表2.

「信交538号」の遺伝背景におけるGhd7Hd16の出穂期改変効果

栽培地 品種・系統 出穂期遺伝子アレル 2016年 2017年
Ghd7 Hd16 出穂日 出穂日の差(日) 出穂日 出穂日の差(日)
長野県須坂市,標高340 m
反復親 信交538号 8/13 0 7/24 0
供与親 信交534号 早生型 8/15 +2 7/25 +1
供与親 コシヒカリBL3-2 早生型 8/15 +2 7/25 +1
G3 早生型 8/2 −11 7/14 −10
G4 早生型 8/4 −9 7/15 −9
G24 早生型 8/2 −11 7/14 −10
H11 早生型 8/16 +3 7/23 −1
H26 早生型 8/16 +3 7/23 −1
H29 早生型 8/16 +3 7/23 −1
長野県原村,標高1020 m
反復親 信交538号 8/24 0 8/9 0
供与親 信交534号 早生型 8/25 +1 8/9 0
供与親 コシヒカリBL3-2 早生型 8/26 +2 8/8 −1
G3 早生型 8/11 −13 7/29 −11
G4 早生型 8/12 −12 7/29 −11
G24 早生型 8/12 −12 7/29 −11
H11 早生型 8/29 +5 8/9 0
H26 早生型 8/28 +4 8/8 −1
H29 早生型 9/1 +8 8/8 −1

作出した準同質遺伝子系統のうちG3とH11について,次世代シーケンサーを用いて残存ゲノム領域を確認した.その結果,G3は第7染色体にあるGhd7周辺(約1.5 Mbp)の領域が「信交354号」型で,第3染色体と第4染色体の2カ所に「信交354号」型または「コシヒカリBL3-2」のゲノム断片が検出された以外は,全てのゲノム領域が「信交538号」型に置換されていた(図3).G3は99.3%のゲノム領域が「信交538号」型であり,0.7%が「信交354号」型または「コシヒカリBL3-2」型のゲノム領域であった.また,H11は,第3染色体にあるHd16周辺(約1.7 Mbp)の領域が「コシヒカリBL3-2」型で,第6染色体の1カ所に「信交354号」型のゲノム断片が検出された以外は,全てのゲノム領域が「信交538号」型に置換されていた.H11は99.9%のゲノム領域が「信交538号」型であり,0.1%が「信交354号」型または「コシヒカリBL3-2」型のゲノム領域であった.

図3.

「信交538号」,「ふさおとめ」及び「ちば28号」の準同質遺伝子系統の全ゲノム遺伝子型.白:遺伝背景(反復親)品種型,黒:遺伝子供与親型,灰:ヘテロ接合体型または未判定型を示す.

作出系統の出穂期を,長野県須坂市と長野県諏訪郡原村の2カ所の試験圃場で調査した(表2,図4).須坂市の試験圃場では,「信交538号」と比較して,Ghd7の早生型アレルを持つ系統(G3,G4,G24)は,2016年は9日から11日の早生となり,2017年は9日から10日の早生となった.Hd16の早生型アレルを持つ系統(H11,H26,H29)は,2016年は3日の晩生となり,2017年は1日の早生となった.原村の試験圃場では,「信交538号」と比較して,Ghd7の早生型アレルを持つ系統は,2016年は12日から13日の早生となり,2017年は11日の早生となった.Hd16の早生型アレルを持つ系統は,2016年は4日から8日の晩生となり,2017年は変化なしまたは1日の早生となった.

図4.

作出した「信交538号」の準同質遺伝子系統群の栽培株と圃場栽培試験の様子.

Ghd7の早生型アレルを持つ3系統の農業形質は,「信交538号」と比較して,短稈で穂長が短く,穂数が多く,精玄米重が低かった(表3,図4).耐冷性は系統間で異なっていたが,葉いもちや穂いもち病抵抗性は「信交538号」と同等であった.Hd16の早生型アレルを持つ3系統の農業形質は,わずかに長稈であったが他の形質はほぼ同等であった.穂数や精玄米重は,多い系統と少ない系統が存在した.これらの傾向は,2年間の2カ所の試験圃場で共通していた.

表3.

「信交538号」の準同質遺伝子系統群の農業形質

栽培地 品種・系統 出穂期遺伝子アレル 2016年 2017年
Ghd7 Hd16 稈長(cm) 穂長(cm) 穂数(本) 成熟期(月日) 稈長(cm) 穂長(cm) 穂数(本) 精玄米重(g) 千粒重(g) 耐冷性不稔率(%) (判定) 葉いもち 穂いもち (判定)
長野県須坂市,標高340 m
反復親 信交538号 79.4 19.7 19.2 8/29 79.0 17.2 24.4 64.2 23.9 16.6 0 0
供与親 信交534号 早生型 74.9 18.5 15.9 8/29 80.0 17.0 23.3 61.3 22.9 10.1 5 6 や弱
供与親 コシヒカリBL3-2 早生型 79.7 19.5 20.1 8/29 85.0 17.8 26.7 62.9 21.8 59.9 や弱 0 0
G3 早生型 54.1 17.9 21.4 8/20 70.0 17.1 28.0 59.5 22.4 17.6 0 0
G4 早生型 56.2 17.4 21.7 8/20 71.0 16.9 28.2 59.2 22.9 15.5 0 0
G24 早生型 55.0 17.5 21.8 8/20 71.0 17.1 27.5 58.7 20.8 11.6 0 0
H11 早生型 77.6 19.2 20.9 8/27 81.0 17.5 23.8 65.4 23.9 12.9 0 0
H26 早生型 82.3 18.9 21.6 8/28 81.0 17.5 22.9 64.3 24.2 17.0 0 0
H29 早生型 80.9 18.2 16.6 8/27 80.0 17.5 21.1 62.6 23.9 18.4 0 0
長野県原村,標高1020 m
反復親 信交538号 67.5 19.4 16.0 10/3 80.0 18.1 26.0 78.8 24.0
供与親 信交534号 早生型 69.0 18.8 19.1 10/5 73.0 17.8 20.9 75.8 22.6
供与親 コシヒカリBL3-2 早生型 76.0 19.1 23.8 9/25 76.0 18.3 23.6 65.1 21.1
G3 早生型 56.5 16.6 17.3 9/10 63.0 16.1 24.0 65.3 25.0
G4 早生型 56.4 17.1 18.4 9/10 62.0 16.1 20.9 62.4 25.8
G24 早生型 58.5 17.3 17.0 9/10 67.0 16.9 25.5 65.9 24.5
H11 早生型 75.6 20.0 21.3 10/5 82.0 18.5 25.1 79.3 24.2
H26 早生型 72.5 19.3 23.0 10/3 76.0 18.7 22.9 78.3 25.0
H29 早生型 74.5 18.6 20.8 10/2 77.0 17.8 22.5 71.1 24.3

2. 「ふさおとめ」と「ちば28号」の準同質遺伝子系統の出穂期改変効果と農業特性

「ふさおとめ」と「ちば28号」の出穂期遺伝子アレル構成を調査して,導入すべき出穂期遺伝子アレルを選定した(表1,図2).「ふさおとめ」と「ちば28号」は,Hd1及びHd16遺伝子が早生型アレルであること,及び,育種目標が10日程度の晩生化であることから,この2つの出穂期遺伝子の晩生型アレルを導入した系統を作出することとした.Hd1Hd16の晩生型アレルの供与親として「日本晴」を選定し,「ふさおとめ」または「ちば28号」との連続戻し交配と全ゲノム遺伝子型調査を行った(図1).交配開始から5年間で,「ふさおとめ」の遺伝背景に,Hd16遺伝子のみ(系統番号102,以下同じ),Hd1遺伝子のみ(103,104),Hd1Hd16遺伝子の両方(105,106,107,108)の晩生型アレルを導入した準同質遺伝子系統を作出した.また,「ちば28号」の遺伝背景に,Hd16遺伝子のみ(110,111),Hd1遺伝子のみ(112,113),Hd1Hd16遺伝子の両方(114,115,116)の晩生型アレルを導入した準同質遺伝子系統を作出した.本研究では,合計14系統の準同質遺伝子系統を作出した(表4).

表4.

「ふさおとめ」及び「ちば28号」の遺伝背景におけるHd1Hd16の出穂期改変効果

栽培地 品種・系統 出穂期遺伝子アレル 2018年 2019年
Hd1 Hd16 出穂日 出穂日の差(日) 出穂日 出穂日の差(日)
千葉県香取市
反復親 ふさおとめ 7/18 0 7/22 0
供与親 日本晴 晩生型 晩生 8/11 +24
102 晩生 7/22 +4 7/25 +3
103 晩生型 7/29 +11 8/1 +10
104 晩生型 8/6 +19 8/7 +16
105 晩生型 晩生 8/15 +28 8/13 +22
106 晩生型 晩生 8/21 +34 8/16 +25
107 晩生型 晩生 8/21 +34 8/18 +27
108 晩生型 晩生 8/20 +33 8/18 +27
千葉県香取市
反復親 ちば28号 7/21 0 7/23 0
供与親 日本晴 晩生型 晩生 8/10 +20
110 晩生 7/21 0 7/25 +2
111 晩生 7/22 +1 7/26 +3
112 晩生型 8/6 +16 8/6 +14
113 晩生型 8/5 +15 8/6 +14
114 晩生型 晩生 8/17 +27 8/17 +25
115 晩生型 晩生 8/18 +28 8/17 +25
116 晩生型 晩生 8/19 +29 8/18 +25

作出した準同質遺伝子系統うち105と114について,次世代シーケンサーを用いて残存ゲノム領域を確認した.その結果,105は第3染色体にあるHd16周辺(約0.1 Mbp)の領域と第6染色体にあるHd1周辺(約4.7 Mbp)の領域が「日本晴」型で,それ以外のゲノム領域は全て「ふさおとめ」型に置換されていた(図3).105は98.7%のゲノム領域が「ふさおとめ」型であり,1.3%が「日本晴」型のゲノム領域であった.また,114は,Hd16周辺(約0.8 Mbp)の領域とHd1周辺(約2.4 Mbp)の領域が「日本晴」型で,それ以外のゲノム領域は全て「ちば28号」型に置換されていた.114は99.1%のゲノム領域が「ちば28号」型であり,0.9%が「日本晴」型のゲノム領域であった.

作出系統の出穂期を,千葉県香取市の試験圃場で調査した(表4,図5).「ふさおとめ」と比較して,Hd16の晩生型アレルを持つ系統(102)は2018年に4日の晩生で2019年に3日の晩生,Hd1の晩生型アレルを持つ系統(103,104)は2018年に11日及び19日の晩生で2019年に10日及び16日の晩生,Hd1Hd16の晩生型アレルを持つ系統(105,106,107,108)は2018年に28日~34日の晩生で2019年に22日~27日の晩生となった.また,「ちば28号」と比較して,Hd16の晩生型アレルを持つ系統(110,111)は2018年に同日及び1日の晩生で2019年に2日及び3日の晩生,Hd1の晩生型アレルを持つ系統(112,113)は2018年に15日及び16日の晩生で2019年に14日の晩生,Hd1Hd16の晩生型アレルを持つ系統(114,115,116)は2018年に27日~29日の晩生で2019年に25日の晩生となった.

図5.

作出した「ふさおとめ」及び「ちば28号」の準同質遺伝子系統群の栽培株と圃場栽培試験の様子.

「ふさおとめ」と「ちば28号」の準同質遺伝子系統の農業形質は,Hd16の晩生型アレルを持つ系統は,稈長がわずかに長く,穂数が減少し,わずかに倒伏しやすく,全重,精籾重,精玄米重や千粒重が低下していた(表5).いもち病や紋枯れ病抵抗性,外観品質や食味評価等では「ふさおとめ」または「ちば28号」とほぼ同等の特性を示した.Hd1の晩生型アレルを持つ系統は,稈長と穂長が長く,穂数が減少し,倒伏しやすく,全重や千粒重が増加して,紋枯れ病抵抗性が強くなり,食味評価値が向上していた.精玄米重は,「ふさおとめ」背景の系統では減少して「ちば28号」背景の系統では増加していた.いもち病抵抗性,外観品質等では「ふさおとめ」または「ちば28号」とほぼ同等の特性を示した.Hd1Hd16の晩生型アレルを持つ系統は,稈長が約20 cm以上高くなり,穂長が長く,穂数が少なく,倒伏しやすく,紋枯病抵抗性が強くなり,全重が多く,精籾重や精玄米重が大きく減少して,千粒重は増加して,食味評価値が向上していた.いもち病抵抗性や外観品質等では,「ふさおとめ」または「ちば28号」とほぼ同等の特性を示した.

表5.

「ふさおとめ」及び「ちば28号」の準同質遺伝子系統群の農業形質

年次栽培地 品種・系統 出穂期遺伝子アレル 成熟期(月日) 稈長(cm) 穂長(cm) 穂数(本/m2 倒伏程度 全重(kg/a) 精籾重(kg/a) 精玄米重(kg/a) 玄米重比率 屑米重(kg/a)
Hd1 Hd16
2018年,千葉県香取市
反復親 ふさおとめ 8/14 77.1 19.6 441 0.5 144.0 74.6 59.5 100.0 0.5
反復親 ちば28号 8/18 73.2 19.4 447 0.5 146.5 76.8 61.3 100.0 0.7
供与親 日本晴 晩生型 晩生型 9/12 76.1 20.8 429 0 166.8 50.4 35.1 2.5
2019年,千葉県香取市
反復親 ふさおとめ 8/27 83.3 18.9 510 2.5 153.9 80.4 60.7 100.1 3.1
102 晩生型 9/1 83.9 18.7 499 3 144.2 74.7 53.2 87.6 6.8
103 晩生型 9/8 88.5 18.7 457 2.5 161.5 73.9 56.7 93.3 2.8
104 晩生型 9/22 95.2 20.8 405 4.5 172.2 80.4 59.4 97.8 5.4
105 晩生型 晩生型 9/30 100.5 21.3 419 5 184.5 75.6 51.8 85.4 8.8
106 晩生型 晩生型 10/1 103.9 21.8 401 5 192.4 75.2 43.0 70.9 16.7
107 晩生型 晩生型 9/30 110.0 21.2 421 5 194.8 71.2 40.4 66.5 16.3
108 晩生型 晩生型 9/30 106.6 21.7 387 5 181.9 68.1 38.2 63.0 16.1
反復親 ちば28号 8/28 74.6 19.1 463 1 152.2 80.1 61.4 100.0 2.8
110 晩生型 9/2 77.4 20.0 435 1 149.7 76.5 61.2 99.7 0.5
111 晩生型 9/2 76.8 19.5 498 1.5 149.6 77.8 59.7 97.2 2.2
112 晩生型 9/21 85.7 20.2 438 4 173.6 82.8 66.0 107.4 1.6
113 晩生型 9/20 86.8 21.7 386 4.5 173.4 84.2 66.0 107.5 1.8
114 晩生型 晩生型 9/29 96.2 22.0 388 4.5 181.0 73.7 44.3 72.1 14.4
115 晩生型 晩生型 10/1 95.9 21.2 418 4.5 184.7 71.4 42.5 69.2 14.3
116 晩生型 晩生型 9/30 98.4 20.9 364 3.5 182.5 72.4 44.6 72.6 13.2
年次栽培地 品種・系統 千粒重(g) 穂首いもち 紋枯病 圃場不稔 外観品質 食味ランク 食味官能総合値 外観 香り 粘り 硬さ
2018年,千葉県香取市
反復親 ふさおとめ 22.1 0 4 0 3 2.5 −0.43
反復親 ちば28号 21.6 0 4 0.5 6 2 0.00
供与親 日本晴 21.6 0 2 4 5 3.5 −1.14
2019年,千葉県香取市
反復親 ふさおとめ 20.7 0.5 4 1.5 3 2.5 −0.71 −0.57 −0.43 −0.43 −0.86 0.43
102 19.6 0 3.5 1 4 3 −1.14 −0.71 −0.14 −0.71 −1.00 1.00
103 20.9 0 1 1 4 2 0.14 0.43 0.00 −0.14 0.29 0.43
104 21.9 0 1.5 0.5 4 2 0.00 0.29 −0.14 −0.14 0.43 0.29
105 22.0 0 1 1.5 3 2.5 −0.71 0.43 −0.86 −0.57 0.29 0.57
106 21.8 0 1 2 4 2 −0.17 0.67 −0.17 −0.17 0.17 −0.33
107 21.8 0 1.5 2 4 1.5 0.50 1.17 0.17 0.00 0.83 0.50
108 21.7 0 1.5 1.5 4 1 0.83 0.67 0.33 0.50 1.00 −0.50
反復親 ちば28号 21.3 0 3 1 5 3 −1.29 −1.00 −0.71 −0.71 −1.14 0.29
110 21.9 0 3.5 1.5 5 3 −1.00 −1.43 −0.14 −0.71 −1.00 0.14
111 20.8 0 3 1 5 3 −1.00 −0.43 −0.14 −0.71 −0.71 0.00
112 23.4 0 1 1 3 2 0.29 0.71 0.14 0.14 0.14 −0.86
113 23.0 0 1 1 4 1 0.86 0.57 0.14 0.57 0.71 −0.86
114 22.3 0 1.5 2 4 1.5 0.67 0.50 0.17 0.33 0.67 −0.50
115 22.2 0 1 2 4 2 0.33 0.83 0.00 0.00 0.50 −1.00
116 22.2 0 1.5 1.5 4 2 0.17 0.67 0.17 0.00 0.67 −0.83

3. 複数の遺伝背景品種における出穂期遺伝子の導入効果の違い

付表2に,これまでに報告されている,出穂期改変を目的とした準同質遺伝子系統の作出によるゲノム育種の概要を要約した.栽培地域や栽培条件の異なる地点での評価結果ではあるが,本研究と既報の結果を比較した(図6).

図6.

本研究及び既報の準同質遺伝子系統群における出穂期改変効果の比較.

本研究では,Ghd7の早生型アレルを導入した「信交538号」の準同質遺伝子系統では,9日から13日の早生となった.同様にGhd7の早生型アレルを持つ「コシヒカリ」系統(関東79号)では,平均14日程度の早生であった.

Hd1遺伝子の早生型アレルを導入した準同質遺伝子系統では,「あいちのかおりSBL」の遺伝背景(Type 1-1,Type 1-2,Type 1-3)で平均1日程度の早生となった.「コシヒカリ」系統(コシヒカリ関東HD1号)では平均12日程度の早生となり,「日本晴」系統(N-NIL (Hd1))では平均16日程度の早生となった.本研究のHd1遺伝子の晩生型アレルを導入した系統では,「ふさおとめ」や「ちば28号」の遺伝背景で平均14日程度の晩生となった.「東北206号」系統(Type 7)では,平均22日の晩生であった.「みずかがみ」系統(Type 1,大育3301)では,25日または26日の晩生となった.以上から,Hd1遺伝子の早生型アレルや晩生型アレルを導入した系統群では,遺伝背景により出穂期の改変効果が大きく異なる傾向が観察された.

本研究では,Hd16遺伝子の早生型アレルを導入した準同質遺伝子系統では,「信交538号」の系統群では1日の早生から8日の晩生が観察された.「てんたかく」の遺伝背景(と系1646~1649,富山89号,富山92号,富山93号)では,同日から4日の早生であった.「東北206号」系統(Type 1,Type 2)では,平均7日程度の早生となった.「ちくし89号」系統(NIL2-1)では,平均11日程度の早生であった.「日本晴」系統(N-NIL (Hd16))では平均13日程度の早生であり,「あいちのかおりSBL」系統(Type 2-1)では平均18日程度の早生となった.Hd16遺伝子の晩生型アレルを導入した準同質遺伝子系統では,本研究の「ふさおとめ」や「ちば28号」の系統で3日程度の晩生となった.「コシヒカリ」系統(K-NIL (Hd16))では,平均12日程度の晩生となっていた.以上から,Hd16遺伝子の早生型アレルや晩生型アレルを導入した系統群においても,遺伝背景により出穂期の改変効果が大きく異なる傾向が観察された.

また,本研究において用いなかった2種類の出穂期遺伝子Hd17及びHd18についても付表2のデータから同様の比較を行った(図6).その結果,Hd17遺伝子の早生型アレルを導入した準同質遺伝子系統では,「あいちのかおりSBL」(Type 3-1,Type 3-2),「つや姫」(庄5537,庄5538,庄5541,庄5545,庄5547)及び「コシヒカリ」(K-NIL (Hd17))の遺伝背景の違いにかかわらず,4日から7日の早生となっていた.Hd18遺伝子の早生型アレルを導入した準同質遺伝子系統では,「あいちのかおりSBL」の遺伝背景(Type 4-1,Type 4-2)で平均1日から3日程度の早生であった.「ちくし89号」の遺伝背景(NIL2-2)では,平均4日の早生であった.Hd18遺伝子の晩生型アレルを導入した準同質遺伝子系統では,「東北206号」系統(Type 4)で平均1日程度,「コシヒカリ」系統(K-NIL (Hd18))で平均2日程度の晩生になった.

複数の遺伝背景の準同質遺伝子系統の比較により,Ghd7は出穂期の改変効果が大きく同程度の早生化を付与できること,Hd1Hd16遺伝子は出穂期の改変効果が大きいが早生化や晩生化の程度が遺伝背景の影響を受けやすいこと,Hd17Hd18遺伝子は出穂期の改変効果は小さいが遺伝背景の影響を受けにくく同程度の早生化や晩生化を付与できることが明らかになった.

考察

本研究では,連続戻し交配と全ゲノム遺伝子型調査により,出穂期の準同質遺伝子系統群(BC4F4世代)を育成して,各種農業特性を評価した.一般的に,日本国内における水稲の栽培条件では,各出穂期遺伝子の機能欠損型アレルが早生となり,機能型アレルが晩生を示す(Hori et al. 2016, Yano et al. 2016, Matsubara and Yano 2018, Cao et al. 2021, Zhou et al. 2021, Fujino et al. 2022).本研究においても,各出穂期遺伝子の機能欠損型アレルを導入して早生化を目指し,機能型アレルを導入して晩生化を目指した(表1,表2,表4).作出した「信交538号」,「ふさおとめ」及び「ちば28号」の準同質遺伝子系統群のゲノム遺伝子型の同質性は極めて高く(図3),長野県及び千葉県で目標とした10日程度の早生化系統または10日以上の晩生化系統は交配開始から5年間で完成した.本研究で作出した準同質遺伝子系統では,遺伝子供与親品種の残存ゲノム領域が0.1%~1.3%であった.BC4世代から自殖固定させた個体における残存ゲノム領域の期待値は,3.125%となる.全ゲノム遺伝子型調査に基づく選抜を育成途中に加えたことにより,期待値以上に遺伝背景の反復親品種への置換が達成できたと考えられる.

また,本研究では,準同質遺伝子系統の作出と並行して,F2,BC2F2やBC3F3世代の育成途中の分離集団において出穂期調査を行い,当初にデザインした出穂期遺伝子アレルの導入により目的熟期の系統が作出できるかを事前に確認した(図1).例えば,「信交538号」のBC2F2集団では,Ghd7導入アレルを持つ個体が平均10日程度,Hd16導入アレルを持つ個体が平均1日程度の早生を示した.これらの出穂期の改変効果は準同質遺伝子系統の表現型と同等であったことから,他の交配組み合わせにおいても育成途中の戻し交配世代において実際の作期に合わせた栽培を計画し,導入遺伝子アレルの改変効果を事前に評価することが望ましい.

本研究では,出穂期の改変効果を事前に予測することはできたが,作出した準同質遺伝子系統群では,出穂期改変に伴い,収量性等の低下等の農業形質の変化も観察された.これまでに,同様の取り組みとして「東北206号」,「あいちのかおりSBL」,「ちくし89号」,「てんたかく」,「つや姫」及び「みずかがみ」の遺伝背景品種に,Hd1Hd16Hd17及びHd18遺伝子の早生型アレルや晩生型アレルを導入した準同質遺伝子系統が作出されている(図6,付表2,西村ら 2017, 山口ら 2018, 阿部ら 2018, 井手ら 2018, 石橋ら 2020, 石森ら 2020).これらの取り組みにおいても,出穂期改変による農業形質の変化が報告されており,導入した出穂期遺伝子アレルが,稈長,穂長,倒伏程度,玄米品質等の他の農業形質に対して多面発現を示していると考えられる.特に,出穂期遺伝子アレルの導入により熟期を変化させた場合,倒伏程度が変化して収量性や高温登熟性が低下する可能性がある(Takeuchi 2011).そのため,出穂期遺伝子が多面的に引き起こす劣悪な形質発現を補完するための集積系統の作出,例えば,粒厚遺伝子や高温登熟耐性遺伝子を同時導入した準同質遺伝子系統の作出事例が報告されている(山口ら 2018, 濱頭ら 2020).最近では,Sd1DEP1TGW6遺伝子等の収量性を制御する複数遺伝子アレルを導入した準同質遺伝子系統の栽培試験が実施されており(上田ら 2021),これらの収量性遺伝子を組み合わせて熟期の改変と収量性向上を両立した新品種を作出可能である.一方で,Hd1遺伝子の晩生型アレルを導入した「ちば28号」系統(112,113)のように精玄米重や千粒重が増加する例も認められた.同様にHd1遺伝子の晩生型アレルを導入した「ふさおとめ」系統(103,104)では精玄米重は減少していたことから,遺伝背景特異的な多面発現の存在が考えられる.また,作出した系統間で残存ゲノム領域が異なるために,その残存ゲノム領域中の未検出の遺伝子の有無が異なっている可能性も考えられる.栽培環境や遺伝背景の違いによる導入遺伝子の改変効果の差異について,今後の研究の進展が望まれる.

本研究と既報の出穂期遺伝子の準同質遺伝子系統群の評価データを収集して,導入した遺伝子アレルの出穂期改変効果を比較した結果,栽培地域や栽培条件の異なる地点での評価結果の比較であるが,Hd1Hd16遺伝子は,戻し交配の反復親品種(遺伝背景)の違いにより,導入アレルの効果が大きく変化していた(表2,表4,図6,付表2).特に,Hd16遺伝子の早生型アレルを導入した際には,本研究の「信交538号」の作出系統における8日の晩生から,「あいちのかおりSBL」の作出系統における18日以上の早生まで,幅広い出穂期の系統が出現した.Hd16遺伝子はGhd7やOsPRR37タンパク質のリン酸化酵素をコードする遺伝子であり,Hd1遺伝子との遺伝的相互作用も明らかになっている(Hori et al. 2013, Kwon et al. 2014).Hd16Hd6等のリン酸化酵素遺伝子では,機能型アレルと機能欠損型アレルの組み合わせにより,異なる出穂期反応が起きることが報告されている(Nemoto et al. 2018).また,Hd16遺伝子は,収量性に影響するジベレリン伝達系のSLR1タンパク質のリン酸化酵素の機能も持っていること(Dai and Xue 2010),Hd16遺伝子が温度反応性の出穂期調節に関与することも明らかになっている(Hori et al. 2021).Hd16遺伝子の早生化効果の差異を説明するためには,上記以外の未同定の出穂期遺伝子の存在,未解明の遺伝子間相互作用の影響,環境応答性の違い等について考慮が必要である.

反対に,Ghd7Hd17Hd18遺伝子の早生型または晩生型アレルを導入した系統群では,遺伝背景品種の違いにかかわらず,一定の出穂期の改変効果(Ghd7は15日程度,Hd17は4日~7日,Hd18は1日~4日)を示していた(図6,付表2).栽培地域や栽培条件の異なる地点での評価結果の比較に基づく考察であるが,日本国内の水稲品種においては,Ghd7Hd17Hd18遺伝子による出穂期改変の効果は安定していると考えられる.なお,Hd17遺伝子は出穂期遺伝子ネットワーク上でGhd7の上流側に位置しており,Hd18遺伝子はEhd1遺伝子を介して出穂期を調節している(Xue et al. 2008, Matsubara et al. 2012, Shibaya et al. 2018).Ghd7Hd17Hd18遺伝子についても他の出穂期遺伝子との遺伝的相互作用が報告されていること,周囲の気温変化に対する出穂期調節(温度反応性)に関与している事例があること(Jung et al. 2020, Liu et al. 2020, Nagalla et al. 2021)等から,さらに別の遺伝背景品種における検証や同一の栽培環境における評価が必要である.

本研究では,作出した出穂期の準同質遺伝子系統群と既報の出穂期遺伝子の準同質遺伝子系統群を,同一の栽培環境で比較する試験は実施できなかった.そのため,栽培環境や遺伝背景の違いによるそれぞれの導入遺伝子の改変効果の差異を明確に検証することができなかった.既報の準同質遺伝子系統群の試験結果との比較により,Hd1Hd16Ghd7Hd17Hd18遺伝子の出穂期改変効果の変動を調査したが,各遺伝子の出穂期改変効果や変動の大きさを正確に評価するためには,遺伝背景品種の持つ他の出穂期遺伝子アレルを調査した上で同一の栽培環境における出穂期調査を行うことが必須である.同一の環境条件下における栽培試験は,遺伝子型 × 遺伝子型相互作用や遺伝子型 × 環境要因相互作用を考慮した育成選抜に重要な知見となり得るため,今後に取り組むべき課題である.

現在,1つまたは少数の遺伝子アレルの導入を目指したDNAマーカー育種が進められており,準同質遺伝子系統に由来する品種が多数育成されている(Fukuoka et al. 2015, 小島ら 2018, Ookawa et al. 2022).病害虫抵抗性や出穂期等を改変する場合は,少数の遺伝子導入により新規系統を作出できる環境が整っている.しかしながら,収量性や高温登熟耐性(玄米品質)等の多数の遺伝子が関与する複雑形質では単純なDNAマーカー育種は難しい場合がある.最近では,全ゲノム遺伝子型情報と表現型情報を用いたゲノミックセレクション手法により,交配後代集団の形質予測が試みられている(Sekine and Yabe 2020).また,ゲノムワイドアソシエーション解析により検出したQTL情報,交配親品種の系譜情報や各品種の遺伝子アレル構成情報等を組み合わせて,最適な交配親組み合わせの選定や後代集団からの有望個体の選抜を可能にする「データ駆動型育種」手法の開発も進められている(堀ら 2022, 杉本・石井 2022).同様の手法を利用することで,本研究で目指した1)導入する遺伝子アレルの選定,2)そのアレルの改変効果の事前予測,3)戻し交配時の遺伝背景品種の選定等を,さらに効率的に実施できるようになると考えられる.一方で,準同質遺伝子系統とその背景品種を比較した表現型データは,ゲノムワイドな統計的手法に基づいて実施される形質予測において特定のゲノム領域の育種効果に関する拠りどころとなるデータを提供できる.本研究で得られた導入遺伝子と遺伝背景の相互作用や遺伝子と栽培環境の相互作用に関する精度の高い情報が,既報の遺伝子アレル情報や各品種のゲノム情報及び表現型情報を含む育種データベースに加わることで,地域の環境に合わせたデザイン育種の実効性が高まると考えられる.

謝辞

本研究は,農林水産省「ゲノム情報を活用した農畜産物の次世代生産基盤技術の開発プロジェクト(次世代ゲノム基盤プロジェクト)」(RBS1003,RBS3001)及び農研機構ゲノム解析・育種支援を受けて実施した.

電子付録

付図1.本研究で導入した出穂期遺伝子Hd1Ghd7及びHd16の遺伝子供与親品種及び反復親品種間のアレル差異.

付図2.「日本晴」リファレンス配列(IRGSP1.0)と比較した長野県の反復親品種「信交538号」及び遺伝子供試親品種「信交534号」,「コシヒカリBL3-2」,千葉県の反復親品種「ふさおとめ」,「ちば28号」の多型領域.白:「日本晴」型または多型なし,黒:供試品種型を示す.

付図3.「日本晴」リファレンス配列(IRGSP1.0)への整列結果をもとに比較した長野県の反復親品種「信交538号」及び遺伝子供与親品種「信交534号」,「コシヒカリBL3-2」の多型領域.白:「信交538号」型または多型なし,黒:遺伝子供与親品種を示す.

付表1.本研究で使用した出穂期遺伝子アレル判定用のDNAマーカー配列及びPCR条件.

付表2.既報の準同質遺伝子系統群における出穂期改変効果.

引用文献
 
© 2023 Japanese Society of Breeding
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