育種学雑誌
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野生稲の花青紫色素
永井 威三郎見波 安治
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1964 年 14 巻 4 号 p. 209-217

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抄録
稲植物の栄養体に分布する花青素色素体をぺ一パークロマトグラフによって検出し次の結果を得た。クリサンテミン,ケラチアニンとチアニヂンはOryza glaberrima, O. perennis, O. cubensis, O. granulata, O.officinalis, ,野生稲(O. s. var. spontanea)中インド,セイロン及びタイ国産の標品に,又クリサンテミンとケラチアニンはO. eichingeri, O. formosana, O. minuta, セイロン,カンポヂア,インド及びシナ産野生稲の標品に,而してO. latifoliaにはケラチアニンのみが検出された。野生稲では同一部分に上記の三花青素色素が共存する場合が最も多く見出されたが,検べた着色部を有する日本品種ではクリサソテミンとケラチアニンとチアニヂンとが共存する場合が最も多かった。日本品種ではチアニンは殆んど検出されなかったがチアニヂンが屡々検出された。これに反して野生稲では後者は殆んど検出されなかった。これによつて此等三種の花青素色素のアグリコン(チアニヂン)が日本品種の生体中に存在しているものと推定した。これまで認められた稲属のゲノム,AA,CC,BBCC,CCDDとEEとはいづれもが花青素色素を発現する遺伝子構造を所蔵していると推論を下した。
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