抄録
四元雑種の能力をF1平均値から予測する可能性と予測の確かさを検討するため,JENKINS(1934)の方法を適用して予測値をみちびき,実測値と予測値の相関によって評価した。 相関の程度は形質によってことなり,2回の試験結果から,化蛹歩合,収繭量,繭の解じょ率は他の形質にくらべて低い相関を示した。複数の蚕期の平均値による実測値と予測値の相関は,単独の蚕期における場合より高く,また,実測値と予測値が同一の蚕期の相関は,ことなる蚕期の場合より大きかった。このことから,予測の確かさに対しては,環境と遺伝子型との交互作用の大きさが影響するものと推測された。 実測値と予測値との相関が低い形質は遺伝率も低い傾向にあった。また,同じ形質でもことなる系統を対象にした2回の試験において,相関の程度に差異がみられた。したがって,対象とする系統群の遺伝的構造によって予測の確かさが左右されることが推測された。