抄録
雄性不稔遺伝子を利用して自然交雑を起させ,自殖性作物の戻し交雑を促進するための育種システムを提案した。異たる種類の雄性不稔遺伝子を利用するために3つのモデルを示した。 モデルIによるシステムでは,劣性雄性不稔遺伝子と,それとは遺伝的に独立があるいは弱く連鎖する劣性標識遺侯子を利用して,自然交雑,自殖および選抜を2世代1サイクルで行い戻L交雑を進める。 モデルIIによるシステムでは,劣性雄性不稔遺伝子およびこれを密接に連鎖する劣性標識遺伝子を使って,1世代1サイクルで,きわめて効率よく戻し交雑を促進できる。 モデルIIIによるシステムでは,優性雄性不稔遺伝子を利用して,1世代1サイクルで戻し交雑を行うことができる。 これらのモデルによる戻し交雑システムの得失を明らかにし,利用上の問題点を指摘した。